2009年の衆院選で「政権交代」を呼びかけた民主党が圧勝し、代表の鳩山由紀夫氏が首相に就任した。2012年の野田政権の一方的「国有化」によって、中日関係は関係正常化以来最も厳しい局面を迎えた。現在、両国関係は歴史問題と現実の問題が頻発し、依然厳しい情勢にある。中日関係はどこへ向かうのか?(文:張勇・中国社会科学院日本研究所中日関係研究センター秘書長)
この時期に鳩山氏が訪中を選択したのは、間違いなく勇気と決断力を要することだ。さらに深いレベルで言えば、いかにして中日関係の現在の苦境を処理し、両国関係を発展させるかについても重要な意義と啓示を備えるものだ。
第一に、歴史を鑑とすること。南京大虐殺記念館で鳩山由紀夫氏は日本による中国侵略の犯罪行為について心からおわびし、日本はこの事件に対して責任を負わねばならないと率直に表明した。1972年、組閣間もない田中角栄首相が毅然として訪中した。首相の訪中に関して、自民党内では激しい議論が起きた。日本右翼勢力の反対と妨害は、それ以上に凄まじいものであり、田中暗殺の声すら上がった。今回の鳩山氏の訪中も、国内の多くの圧力と妨害に直面した。首相在任時、鳩山氏は「友愛」という政治理念を基礎に外交を展開すると繰り返し表明した。例えば「日本の新しい道」という論文で、鳩山氏は友愛精神から生じるもう1つの国家目標は東アジア共同体の創設であると説明した。「日米安全保障条約は依然、日本の外交政策の礎だ。だがわれわれはアジアの国であるというアイデンティティを忘れてはならない」。元首相である鳩山氏の中国での言動は強いシンボリックな意味と啓示的役割を持つ。日本が正しく歴史を認識し、かつ真摯に反省できるか否かが、中日関係の平和構築の礎が堅固か否かを決定づけるのだ。
第二に、未来に向かうこと。歴史を鑑とするのは、やはり中日関係を良好で健全に発展させることが目的だ。まさに鳩山氏が揮毫したように「友愛平和」であり、鳩山氏は自分の名前の「由」の字をわざと「友」の字に書き換えたのだ。歴史の事実を尊重し、認め、両国関係における新旧の問題に戦略的に対処して、初めて真の平和友好が実現可能となる。敏感な史実をどう扱うかについて「東アジア3国近現代史共同編纂委員会」が3国の学界の力を挙げて共同編纂した中日韓の近現代史教科書が、その有意義な試みだ。理論的に言えば、中日関係はさらなる深化の方向に沿って発展する。だがもし日本が誤った戦略選択の下で中国抑止戦略を継続するのなら、自らの長期的利益も深く害されることになる。このほか、中日は共に両国関係の発展という前提の下で、不可避的に地域さらには世界の体制への融合を進め、全く新たな情勢の下で地域ガバナンスとグローバルガバナンスへの参与に関する能力の強化という問題に直面することになる。
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