【論評】王屏・中国社会科学院日本研究所政治室研究員
安倍氏が就任後直面する最初の難関は「ねじれ国会」への対応だ。自民党は衆議院で安定多数の294議席を獲得したが、参議院では242議席中83議席しかなく、過半数に達しないだけでなく、第一党ですらない。このため来年の参議院選までは、自民党は慎重に政権を運営しなければならない。
「安倍政治」の核心は「戦後レジームからの脱却」だ。党内では持続可能な「新しい自民党」を構築。国内では憲法改正、教育の見直しを通じて、日本民族の誇りを取り戻す。国外では、日本を戦争のできる国にしようとしている。先日、安倍氏は父の墓前で「今度はしっかりとやり、歴史の与えた重責を果たす」と改めて誓った。
この他、安倍内閣の政策主張と他の各党間との相互作用が、総選挙後の政界再編の構造的特徴を決定づける。日本政界の「第三次右傾化」態勢が徐々に形成されるに伴い、自民党の政権運営に右傾勢力がどのような影響を与えるかが注目されている。これと同時に、保守の自民党内部では新保守と旧保守との争いや、若手・中堅派と重鎮派との違いもある。これらも自民党が政権運営にあたり真剣に扱わなければならない政治課題だ。
安倍氏の中国観はその著書『美しい国へ』にある程度示されている。安倍氏は「隣国である中国と友好関係を保つことは日本にとって、経済面からも安全保障面からも大変重要だ。中国経済の発展は日本経済の成長と緊密に関係する」としている。安倍氏は日中関係は「政経分離」原則に従うべきであり、政治問題によって両国の経済的互恵関係が損なわれることがあってはならないと主張している。だが政治と経済が思い通りに分割できるものなのか?(編集NA)
「人民網日本語版」2012年12月26日 |