厦門大学がこのほど開催した学術シンポジウム「アジア太平洋地域経済協力の新構造における中国と日本」において、中国社会科学院日本研究所経済室主任の張季風教授は、「日本に対する経済戦争で、中国が一人勝ちすることはない。冷静に思考・計算すれば、日本経済の中国経済に対する依存度が想像していたほど高くないことが分かる。経済制裁はシギとハマグリの争いになり、中国に対して抑制の戦略をとる米国が漁夫の利を得るだろう」と指摘した。中国網が伝えた。
中日関係が「政冷経涼」に陥る中での開催とあって、中国と日本の経済・貿易をめぐる同シンポジウムはひときわ注目を集めた。
◆経済制裁で共倒れに
張教授はこのほど論議の的となった「対日経済制裁」という話題について、「日本政府の独りよがりな茶番劇は、中国人の強い反発を招き、中日経済・貿易関係に深刻なマイナス影響をもたらした。これらはわれわれが目にしたくなかった結果であり、日本政府が一方的に引き起こしたものだ。日本政府は間違った行いを直ちに正す必要がある」と語った。
張教授は一方で、中国の国民に対しても冷静になるよう呼びかけた。経済制裁は日本経済に深刻な打撃を与えるが、中国も一人勝ちはありえず、共倒れになるからだ。
張氏は、「中国の対日輸出商品は、主にミドル・ローエンド消費財および中国で組み立てた機械設備だ。短期的な対中国輸出減は日本経済に深刻な打撃を加えるが、致命的な打撃とまではいかない。また日本は一定期間の調整を経て、輸出市場をタイやベトナムなどの東南アジア諸国に移すだろう。日本の対中国輸出商品のうち、ハイエンド部品等の半製品、鉄や電子部品等の原材料、工作機械等の生産設備が約6割を占める。これらの製品の多くは、その他の国の製品と取り替えることができない」と分析した。これらの製品の輸入が途絶えた場合、中国の関連川下企業の生産に、大きな連鎖反応が生じる恐れがある。経済がグローバル化した今日、日本製品の不買によるツケが自国に回ってくる可能性がある。経済制裁は日本に深刻な打撃を与えることができるが、中国経済が被る打撃も無視できない。世界2位・3位の経済国の共倒れが、欧州債務危機で疲弊した世界経済に対してもたらすマイナス影響は、過小評価できない。
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