朱氏は、「端末機器のデジタル化・スマート化の過程において、モデルの革新、およびソフト・アプリケーションの開発が必要となる。日本企業はこれらを得意としていない」と指摘した。
朱氏は、「中国の電子産業は、委託加工貿易から技術開発型へのモデルチェンジ、端末機器製造から川上の電子部品製造へのグレードアップの最中だ。この過程において、日本の多くの技術と製品を利用することができる」と指摘した。
朱氏は、日本電子企業の端末機器製造の衰退は、日本の電子産業全体の没落を意味するものではないとした。「電子産業は、端末機器、集積回路、電子材料、精密機器等に分かれる。日本の端末機器製造の衰退は産業チェーン全体に影響を及ぼすが(集積回路が最も直接的な影響を被る)、より川上の電子材料・精密機器の領域で、日本企業は依然として高い競争力を持つ」
電子材料・部品等、日本企業が依然として競争力を持つ産業を、MC産業と呼ぶ。姚氏は、「MC産業は経済発展のカギとなりつつある。高付加価値のMC産業は、産業チェーンの中でも最も高い利益を上げている」と述べた。
日本光ファイバー企業 産業川上で高利益を確保
姚氏は、「1990年代前半より、日本経済が長期的な低迷に陥り、いわゆる失われた20年を経た。この間に日本の電子産業は円高進行等による深刻な影響を被った。日本経済の成長は限られていたが、企業レベルの開発能力は逆に強化された。日本のMC産業は、世界で重要な地位を占めている」と語った。
姚氏は日韓MC産業の競争力を比較した論文の中で、「韓国は完成品の市場シェアを拡大しているが、日本と比べた場合、MC産業では劣勢に陥っている。MC産業において、韓国のサムスンやLG等の大手が生産する完成品の多くは、日本から輸入したコア部品・材料を使用している」と指摘した。
また韓国の染料・顔料・塗料・表面活性剤など化学製品の製造技術は、すでに先進国に引けをとらない水準に達している。しかし高い技術力、高額の開発経費を必要とする分野(精密化学産業の中核である原料や中間体、特に電子情報用の化学材料)では、日本を含む先進国からの輸入に依存している。
姚氏は記者に対して、「韓国中の対日貿易は長期的に赤字に陥っているが、このうち60%以上がMC産業の貿易赤字によるものだ」と語った。
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