シャープ、ソニー、パナソニック等の日本の電子大手は、赤字やリストラというキーワードと結びついている。
ソニーは10月19日、2012年度内に2000人の大規模リストラを実施すると発表した。このうち約半数は本社を含む間接部門の人員が含まれる。今年8月に発表された2012年度第1四半期(4月1日−6月30日)報告書によると、同社は3億1200万ドルの赤字を計上した。
シャープは昨年、3760億円という過去最大規模の赤字を計上したが、2012年度第1四半期の業績にも好転は見られず、赤字額が前年同期の490億円から1384億円(約18億ドル)に上昇した。ゴールドマン・サックスはシャープの投資判断を「売り」に引き下げた。同社の株価は38年ぶりの安値を記録した。
中国社会科学院の日本経済専門家の姚海天氏は取材に応じた際に、「日本製造業の時代が終わったと結論を下すのは早計だ。日本はMC( Materials&Components、電子材料・部品)産業で依然として高い競争力を持っている。MCは産業チェーンの川上に位置し、利益率が高い。多くの製品は外国では生産できず、国外製品の品質も遠く及ばない」と語った。
集積回路の小売を手がける科通芯城(Cogobuy)の朱継志執行副総裁も記者に対して、「日本は集積回路分野で高い競争力を持つ。多くの集積回路で使用されている加工技術は、すべて日本が発明し定義付けを行った(コンデンサ等)。電子材料分野でも、日本のレアアース利用技術は世界トップ水準に達している。レアアースは、ほぼすべての集積回路の製造に用いられる」と説明した。
日本電子産業衰退の背景にあるもの
朱氏は、「韓国、台湾、中国本土の電子産業チェーンの台頭により、日本企業が強みとしていた低コストは、現在高コストになっている。また日本の端末機器メーカーのサプライチェーンは閉鎖的で、日本企業の集積回路ばかりを使用している。そのため、日本企業は電子産業チェーンのハイエンド製造技術を把握してはいるが、コストを削減できずにいる」と分析した。
この劣勢は、日本企業から近年伝わっているリストラ・赤字に関するニュースに反映されており、産業のバロメータとされる展示会でも明確に示されている。今年10月12−15日に香港で開催された、グローバル・ソーシーズ社(Global Sources、ナスダック: GSOL)主催の2012年秋季エレクトロニクスショーでは、約4000のブースのうち、中国本土・香港・台湾メーカーが圧倒的多数を占めていた。
朱氏は、「日本企業はかつて、高度な精密加工技術によるコストパフォーマンスで、すべての消費類電子端末機器で高い競争力を誇っていた。しかし現在は、カメラ、ビデオカメラ、プリンター等の精密加工を中心とする端末機器を除けば(日本企業はこれらの製品で、引き続き先頭をキープする)、日本企業の端末機器の競争力が低下を続けている。アプリケーションの革新を支柱とする端末機器、携帯電話等の競争力が、今後も低下を続けるだろう」と述べた。
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