このような窮地の中、野田首相は危険な時期に「政治空白」は許されないとし、野党と民主党に共同で責任を負い、今臨時国会で特例公債法案を成立させるよう求め、日本版「財政崖っぷち」を裂け、政権を維持したい考えを示した。上海交通大学日本研究センターの王少普主任は、「野田氏が『大局を顧みない』という帽子を野党にかぶせれば、強い説得力はなく、臨時国会で民主党の提案が拒否され、内閣不信任決議案が再び提出される可能性が高い。民主党内でも分裂が続き、衆院における立場を維持するのは難しくなると見られ、今国会は野田氏にとって『失敗』になるだろう」と話す。
野田首相は所信表明演説の中で、日本の安全保障が厳しい状況にある中、領土・領海の維持において一歩も譲らない考えを示した。ところが、日本の共同通信社は、首相は中韓との領土争いに直接触れなかった点を挙げている。さらに野田首相は、大局観を持ち、中国、韓国、ロシアなどの周辺国と安定した信頼関係を築くとも発言。中国社会科学院栄誉学部委員の馮昭奎氏は、釣魚島「国有化」に対し中国は対抗措置をとり、野田首相は妥協姿勢を示さざるを得ない状況になったと見ている。
中日間の釣魚島を巡る対立による日本経済への圧力は拡大しており、第3四半期は輸出萎縮、貿易赤字増加となった。このような状況の中、日本で影響力を持つ「経団連」などの経済団体は政界に中日関係の改善を求め、民主党内でも争いの早期解決を望む声が上がり、中国に好意的な鳩山前首相が最高顧問に復帰した。王少普氏は、「当面の情勢下で、野田内閣が持ちこたえれば中国にとって有利になるかもしれない。一方、安倍氏が総裁を務める自民党が政権を握れば、初期において中国に強硬姿勢をとる可能性が高い」と見ている。馮昭奎氏は、「日本経済があまりに悪化すれば日本の右翼化に拍車をかけることになる。これは過去に教訓がある。石原氏などの極右翼勢力の阻止に力を入れ、日本国内の中国に対する態度の分裂を進めることは、もっと賢いやり方かもしれない」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年10月30日 |