第4に、今後の新投資だ。日本企業は中国での投資が打撃を受けたため、今後は東南アジアに投資先を変更する可能性がある。一方、中国企業の対日投資は近年増加しているが、日本経済にとってさほど大きな影響はない。
但し、▽中国の経営環境は東南アジアやインドよりも優れ、将来的に大きな潜在力を持つ▽中国は日本と地理的に近く、文化的にも似ている▽2005年以降、日本政府は企業の「チャイナリスク」を分散させるよう提唱しているがうまくいっていない----などの要素を考慮すると、この勝負は日本の勝ちだが、それほど優位はないと言える。
以上を踏まえ、中日両国のマクロ経済を分析したい。1-9月、中国のGDP成長率は前年同期比7.7%、第3四半期は7.4%となった。通年では7.7%増となり、目標の7.5%をやや上回る見通しだ。一方の日本は9月、輸出が3カ月連続で減少し、4カ月連続の貿易赤字となった。経済産業省が9月28日発表した8月鉱工業生産指数速報によると、同指数は2カ月連続の低下となった。日本産業機械工業会が11日発表した8月の産業機械受注額は、前年同月比44.4%減の2685億1900万円だった。うち内需は26.8%減の1804億5700万円、外需は62.8%減の880億6200万円だった----。
長年の研究経験から判断するに、日本経済は今年8月の時点でほとんど衰退すれすれの状態にあると言える。9月以降、中国による大きな打撃を受けたことで、日本経済が新たな衰退に陥る可能性が大幅に高まった。
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