■多事多難の時
野田氏の抱える悩みは1つだけではない。玄葉光一郎外相の欧州歴訪は順調にいかず、「日本に有利な国際世論の醸成」は空論に終った。日本メディアは「日本と距離を保つ」という表現で、外相のばつの悪い訪問の成果を形容した。
米兵が日本女性を強姦した事件が火に油を注いだことは間違いない。沖縄では時々同様の事件が発生するが、今回はより敏感な時期であり、野田氏は民意に配慮しなければならないが、同盟国と反目するわけにもいかない。野田氏はこの事件をうまく処理しなければ、自らが痛い目に遭うことを理解している。
中国との島嶼争いが終息しない中、また閣僚2人を含む国会議員67人が集団で公然と亡霊参拝(靖国神社参拝)を行った。彼らは個人の行為と主張しているものの、これはやはり隣国の民衆の神経を逆なでし、すでに厳しい情勢の中日関係、日韓関係をさらに悪化させるものだ。
野田氏を落胆させるのは、与党議員の離党の流れが依然続いていることだ。衆議院での民主党の優勢はすでに大幅に弱まり、あとわずか9議席で単独過半数の座を失う。若手議員の「第三極」政党への鞍替えの流れは依然止まらない。野田政権の政権掌握能力は弱まってきているとアナリストは指摘する。
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