中国のコスト増も、日本企業の投資先変更の主因となっている。ボストン・コンサルティングによると、中国の人件費はアジア7カ国を上回っており、このうちベトナムの人件費は中国を15-30%、インドネシアは40%下回る。人件費が最も低いバングラデシュは、中国のわずか5分の1だ。この影響を受け、日本の2011年度の対東南アジア直接投資額は1兆5000億円に、対中国直接投資額は1億円のみとなった。日本の今年7-8月の対東南アジア投資額は1800億円に達し、対中国投資額の1500億円を上回った。ホンダはインドネシアで270億円を投じ、新たな自動車製造工場を建設中で、2014年の稼働を予定している。トヨタはタイで169億円を投じ、新たな生産拠点を建設中で、来年上半期に稼働を予定している。日本最大の百貨店の一つである高島屋は、今後5年間で東アジアに350億円を投資する予定で、これは対中国投資額の2倍以上に相当する。
中国以外の要因も、一部の日本企業に対して中国からアジア諸国への移転を促している。中国は2015年末までに、ASEANと自由貿易協定を締結する予定だ。これにより、ASEAN諸国の対中国輸出関税は平均で0.1%となる。日本企業がベトナムのハノイ付近で生産した商品を中国の広東省に輸出した場合、中国の北方もしくは中部から南方に輸送するより安上がりになる計算だ。
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