新潟大学准教授 張雲
首相に返り咲くと目される自民党の安倍晋三新総裁は10月15日、アメリカ国務副長官との会談で中日の島をめぐる争いに対し「議論の余地ない。領土問題は存在しない。1ミリたりとも譲れない」と強硬な態度を見せた。同時に、問題の悪化が懸念される中、釣魚島の主権が日本に帰属することをアメリカに認めさせようとの声が日本国内で増えている。実際は、アメリカを通じた対中圧力は戦略的に間違っており、日本の国家的利益から見て危険な行為である。
まず、日本はアメリカが西太平洋を守るための最重要な同盟相手であると認識しており、時が来ればアメリカは日本を支持すると考えている。しかしそのロジックは信頼性に欠ける。アメリカの一貫した態度とは、「領土の帰属について、いずれの立場にも属さない。ただし、日米安保条約の適応範囲である」だ。これはアメリカが中国と対立を望んでおらず、また同盟相手である「小さなパートナー」にも気を配っているという、複雑な心理を表している。日本にとってみれば、明確な同意を得られていないという懸念を生じさせる態度だ。中日間の問題が悪化すれば、アメリカが関与せざるを得ない局面にもなるだろう。その際、アメリカが中国を選択することはありえないというのが、日本側のロジックである。しかしオバマ政権で国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を務めたベーダー氏は回顧録の中で、「中日両国がこれらの島嶼のために開戦するとか、アメリカがそれに巻き込まれるというのは、あり得ない話だ」と明確に記している。問題が後戻りできない状態になる前に、アメリカは日本を抑えこんで開戦を回避する戦略に転じる可能性が高い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年10月23日 |