(2)「芸術」と化しているゲーム
日本のゲームは米国のようにコンピューターグラフィック(CG)を駆使した迫力ある視覚効果を楽しむのではなく、美しく興味をそそる音楽を使ってゲーマーを魅了する。日本のゲームは非の打ちどころのない芸術品のようでもある。
アニメやゲームはもともと密接な関係があり、中国ではアニメーション、コミックス、ゲームの3つを「ACG」とする総称があるほどだ。日本には世界一のアニメ産業があり、電子ゲームと結合して共に発展を遂げている。例えば、ドラゴンクエストの原画デザインは人気アニメ「ドラゴンボール」の作者・鳥山明氏だ。「ドラゴンボール」は中国に人気小説「西遊記」の影響を大きく受けたアニメで、世界で3億5千万冊を販売した。そのため、鳥山氏が製作に関わった「ドラゴンクエスト」は登場するとすぐに、ゲーマーらの間で大人気となった。
一方、「ファイナルファンタジー」の画像と音楽も好評を博している。ファイナルファンタジーシリーズのゲームのキャラクターデザインは画家・天野喜孝氏が手掛けている。天野氏は米国のスーパーマンやバッドマンの生みの親イラストレーター・ボビー・ニール・アダムスの影響を大きく受けており、ファイナルファンタジーなどには西洋の雰囲気が深く漂っている。そして、ファイナルファンタジー7以降は、若手の野村哲也氏が天野氏の後を継いでキャラクターデザインを担当するようになった。その理由は野村氏の画風が簡潔明瞭で3Dに適していたからだ。人気のファイナルファンタジーの音楽は独学で才能を発揮した作曲家・植松伸夫氏が担当している。植松氏は12歳の時にピアノを始め、子供のころから英国のシンガーソングライター・エルトン・ジョンのファンだった。エルトン・ジョンは1970年の「僕の歌は君の歌」のヒット以降コンスタントに活動を続け、現在までに全世界で2億5千万枚のレコード・セールスを記録。グラミー賞やアカデミー賞を何度も獲得している。香港のスーパースター「歌神」と称される 歌手・張学友や中国におけるロックンロール創始者といわれる崔健なども70年代、絶頂期だったエルトン・ジョンの影響を大きく受けたといわれている。植松氏の音楽はファイナルファンタジーの面白さを一層引き立て、その才能が広く知られるようになり、世界中でコンサートを開催するように。中国の女性トップ歌手・王菲もライブでファイナルファンタジー8の主題歌を披露したことがある。ファイナルファンタジーの生みの親坂口博信氏はこれら優秀なデザイン家や音楽に恵まれ、ゲーマーに「芸術作品」を提供している。
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