和製英語は日本語表現を豊かなものにし、同時に、英米の最新知識や文化を迅速に吸収することを可能にした。しかしこのようなメリットは日本語圏内にいるときのみ有効となる。いったん日本人が英語で非日本人とコミュニケ―ションを取ろうとすると、和製英語はとたんに役立たなくなってしまう。
要するに和製英語はインプットには適しているが、アウトプットには不利なのだ。とはいえ和製英語は日本の翻訳産業の発展を促した。国外、特に英語圏の情報は迅速に日本語に変換され、国内で利用されている。
1980年代まで、日本は常に科学技術、管理手法、文化などの分野で欧米先進国に追い付こうとしてきた。時には彼らなりのイノベーションによって、欧米諸国を凌ぐことさえあった。この過程において和製英語は、英語圏で流行するものを日本語に組み入れるだけでなく、科学技術や企業管理などの最新理念なども素早く取り込むための道具となった。
しかし情報化社会に突入すると、国際交流を翻訳に頼るのみでは、市場が求める迅速さに追いつかなくなってきた。情報伝達モデルの転換以外にも、国際的な人材流動化が日本にとってのネックとなった。世界的にみれば日本語は弱小言語であり、使える範囲は限られている。高等教育を受けた日本人ならば最低6年の英語学習経験を持つが、和製英語の存在によって、多くの人々が読み書きだけしかできない英語話者に留まらせている。
日本経済が強く、日本企業が輝いていた時代。日本語は日本型経営の一部になっており、日系企業内での地位はゆるぎないものだった。和製英語であれ、スタンダードなアメリカ英語であれ、日本経済界にとっては区別のないものだった。
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