愛国心のある中国の多くの民衆が釣魚島防衛活動に積極的に参加し、その動きは「日本製ボイコット」にまで拡大している。日本でも「中国製ボイコット」の動きが始まり、中国と経済対立することが予想される。中国の消費者による「日本製ボイコット」と日本の消費者による「中国製ボイコット」は盲目的な動きで、中日間の対立の本当の勝者は米国である。
中日間の経済・貿易関係は密接で、相互依存度は高いが、日本の方が中国に依存している。世界一の輸出大国である中国の対日輸出の割合は低下し、2012年1-7月は全体の7.6%だった。中国の輸出市場の構造は比較的バランスがよく、多様化している。一方、日本の輸出に占める対中輸出は約22%となっている。また、日本から韓国、台湾、香港などの市場を経由する中国への再輸出の割合も高く、迂回輸出は日本の輸出の約10%になると推測される。この2つを合わせると、日本の中国市場依存度は30%に上る。そのため、中国の消費者による日本製ボイコットは、日本での中国製ボイコットより影響が大きいと言える。さらに、日本経済は早くから低迷し、軟弱となっており、中国の消費者によるボイコットは日本に財政危機、金融危機、円の危機をもたらす可能性が高い。しかし、日本が再建し、極端な道に踏み出す可能性もあり、これは中国の安全を大きく脅かし、民間の「日本製ボイコット」という選択は万全の策ではないといえる。
おまけに、中日間の対立の背後には、冷めた目で傍観する米国の姿がある。世界を主導し、自国の「地球益」の維持を戦略的目標としてきた米国は、ライバルを制圧できるどんなチャンスもうまく利用するだろう。財政危機によって多額の債務を抱え、新興国の台頭を前に、米国の世界をコントロールする力は不十分となっている。大多数の米国の政策決定者は、中国の実力が削減されれば米国の実力は向上すると見ている。米国は製造業の再興、国際競争力の回復を望んでおり、2つの製造業大国の対立は米国経済に大きなチャンスをもたらす可能性が高い。「実力は一方が劣れば一方が伸びる」という視点から分析すると、米国は中日間の対立において受益者になるだろう。(商務部研究院 金柏松研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月27日 |