十数年の月日は瞬く間に流れた。王さんは無事、小・中・高校の教育を終え、四天王寺大(大阪府羽曳野市)の人文社会学部に入学した。この時、すでに中国語をほとんど忘れており、中国国籍を留保してはいても、「中国人としての実感がなくなっていた」。脳裏には「自分は中国人なのか、それとも日本人なのか」という疑問が終始まとわりついていたという。明確な答えを示すため、王さんは中国に戻って中国語を学ぶことを決めた。心の底には「自分はやはり中国人」との思いが脈々と流れていたからだ。
王さんは2010年9月から1年間、中国・浙江省の大学に留学。行く前は「中国語がよく分からなかったので、とても緊張しました」と語る。
浙江大での留学生活にすぐにでも溶け込めるよう、王さんは出発前にしばらく、県内在住の中国人と頻繁に交流し、中国語を学んだ。しばらくすると、思っていることをストレートに話をする同胞との付き合いは、「ありのままでいられて、とても楽」と気付いた。感情や気持ちをあまり表に出さない日本人と比べ、「自分はやっぱり中国人」と感じた。
王さんは現在、大学4年生で就職活動中。将来は、中国市場の開拓を目指す日本企業で働くことを希望している。そうした会社こそ自分を必要としていると感じるからだ。「努力を続け、さらに多くの中国人に日本を理解してもらいたい」と熱を込めた。(編集HT)
「人民網日本語版」2012年8月2日 |