九州北部に位置する佐賀県は、日本で最も有名な陶磁器の産地であり、農業県でもある。多くの歴史文化遺産があり、中国人観光客が注目する観光目的地のひとつだ。今年1月18日、春秋航空(上海市上寧区)は「ローコスト航空」(LCC)理念を日本に導入、上海-佐賀線を就航させた。初便当日の最低料金はわずか3千円で、大きな関心を集めた。半年が過ぎ、実際の効果はどれほどか。中国人観光客向けのサービスをいかに向上していくか。佐賀県はこのほど、中国人観光客が県内にもたらす利益について総合評価をまとめ、よりきめ細やかなサービス改善を打ち出した。ウェブサイト「日本新華僑報網」が伝えた。
上海-佐賀線は18日、就航から半年を迎えた。同便の就航以降、佐賀県には多くの中国人観光客が訪れている。経済効果に関する具体的な試算は行われていないが、佐賀県が日本の九州地方と中国地方を結ぶ交通の要所となるに伴い、外国人観光客が同県に滞在する日数も伸びつつある。この千載一遇のチャンスを生かすため、経済効果の創出や新しい消費モデルの導入、官民連携の促進などに向けた措置を講じることが佐賀県にとっては重要となっている。
有明佐賀空港は専門スタッフを配置、担当者が中国人観光客の上海出発から佐賀到着までを案内、また空港側は観光客に、県に関する宣伝リーフレットを配布している。リーフレットには県内の主な観光景勝地のほか、スーパー、ドラッグストアなどショッピングスポットも掲載された。
佐賀県庁農林水産商工本部国際戦略グループによると、春秋航空の就航以来、同便で同県を訪れ、県内に宿泊した中国人観光客は6月23日現在で約1900人。2010年は年間わずか2738人が県内に泊まったことからも、同便の就航が観光客増加をもたらしたのは明らかだが、確かな経済効果を残しているかについては、疑問符も残る。
春秋航空を利用した外国人観光客221人(うち中国籍216人)に対して大手調査機関が行ったアンケート調査によると、旅行の目的を「観光・ショッピング」とした人は74.4%に達した。「阿蘇山ロープウェーから火山の麓に広がる草原を眺め、別府温泉を楽しんだ後、福岡で櫛田神社を観光し、免税店でショッピングを満喫したい」。これが佐賀県から訪日する中国人観光客の人気観光ルートだ。
春秋航空のツアーでは、最終日に佐賀県内に宿泊する必要があるが、現状は中国人観光客のニーズを満たしていない。観光業界関係者は「レストランのメニューに中国語表記がなく、観光客はコンビニやスーパーで夕食を済ませることがよくある」と中国人観光客の声を明らかにした。「佐賀空港に同便が1回着陸するだけで、県内には100人以上の外国人観光客が訪れるが、飲食施設が観光客を引き付けられていないというのは、非常に惜しい」と関係者。
県内各市町村観光協会の指導のもと、県内各ホテルは急きょ、中国人観光客向けメニューを用意した。しかし「行政により企業努力を引き出すことはできるが、顧客がお金を払うかについては、企業自身の努力にかかっている」と県庁担当者の表情は厳しい。
中国人観光客の来県拡大への刺激策として、佐賀県は航空会社の空港着陸料免除のほか、フライト1便につき搭乗客1人に抽選で、3千円の宿泊補助を始めた。佐賀県は今後3年以内に、春秋航空に対し5億4千万円以上の補助を支援する見込みだ。古川康知事は「いかにチャンスをつかみ、より多くの中国人観光客を呼び込んで価値を創造するか。残された課題は多い」と述べている。(編集HT)
「人民網日本語版」2012年7月23日 |