北京日本学研究センターのセンター長を務める徐一平教授は5日、「人民日報」のニュースサイト「人民網」を訪問。言語教育や中日文化交流などに関して自らの考えを語り、「メディアは中国ないし日本の多様で多層的な姿を伝え、客観的な報道を行う必要がある」と指摘した。「人民網」が報じた。
徐教授のコメントの要旨は以下の通り。
人民網をはじめとするメディアはこれまでにも相互理解の促進に向け多くの取り組みを行い、重要な役割を果たしてきた。ただ全体的に見ると、メディアにもそれぞれの方針があり、着眼点が異なる。今はメディアという窓口だけに頼っていては、1つの国の全体像を全面的に理解することは難しいといえる。
1つ典型的な例を挙げてみよう。2005年、中国でいわゆる「反日」デモが起こった際、日本のメディアは「反日感情が高まっている」「どこでデモが起きた」などとセンセーショナルに取り上げた。こうしたニュースを見ただけでは、中国全土で反日ムードが高まっているものと思ってしまう。しかし当センターの主任教授によると、報道が最も過熱していたころに、北京市内の大通りを歩いていると、大型電気店が並ぶ『中関村』でデモをしている人達を確かに見かけたが、『紫竹院公園』に場所を移すと、今度は満開の桜の樹の下で着物を着て写真を撮っている中国人の若者たちを見かけた。しかしこのようなシーンを報道した日本のメディアは1つもなかった。この2つのシーンの写真、2つのグループの行動を両方報道してはじめて、全体像を伝える報道といえるという。
1つの国で何か騒動や事件が起こった時には、必ず過激で極端な側面というのが存在するが、同時に比較的冷静に中日関係を見ているという人も必ずいる。桜という日本の文化を愛する若者が増えている側面もあるのだが、メディアがある時期に伝えるニュースというのは、特定のシーンや側面に限られてしまう。また中日両国のメディア、特に商業化の色が比較的濃いメディアの中に、視聴者の目に刺激的なニュースを大げさに報道しているところがある。これは恐らく商業化されたメディアがある限り、避けることができないことなのだろう。つまり、メディアを通じて見るものは物事の側面にすぎず、自分の目でさらに多くのことを確かめなければならないのだ。
メディアに対して一言言わせてもらうと、メディアには、何か事件が起こった際に、もっと客観的かつ全面的により多くの側面をとらえてほしい。多様化された今の世界では、どんな出来事にも多くの側面がある。中国ないし日本の多様で多層的な姿を伝え、人々の全面的な理解の助けとなることができれば、メディアは相互理解の促進でさらに大きな役割を果たすことができるだろう。 。(編集KN)
「人民網日本語版」2012年7月11日