アジア開発銀行研究院が提供したデータによると、11年に人民元建て決済によって行われた中国の対日輸出は輸出全体の0.3%を占め、同対日輸入は輸入全体の1.7%を占めた。日本円建て決済によって行われた中日貿易の割合はやや高いが、09年の中国の対日輸出をみても18%にとどまっている。
同研究院のケイ予青エコノミスト(博士)は取材に応える中で次のように指摘した。中国と日本は世界2位と3位の経済体であり、中日間の貿易量はアジアだけでなく世界の貿易に大きな影響を与える重要な位置づけにある。それにもかかわらず両国はこれまでずっと第三の通貨を利用して貿易決済を行ってきたし、現在は米ドルの不安定性が増大している。こうした事実はそれほど正常な現象とはいえない。中日の通貨の直接交換が実現すれば、企業の取引コストや為替リスクが軽減されるだけでなく、人民元を受け入れ、使用し、保有することへの日本企業の意欲が一層高まることになる。
欧州債務危機の衝撃が相次ぐ中にあって、現在の世界金融市場は低迷を続け、各国の金融業界は危機回避を求めると同時に、新たな市場の成長点を発掘しようと力を入れている。人民元と日本円との直接交換が中日の金融に巨大な成長の可能性をもたらすことは間違いない。とりわけ日本の金融機関と東京金融市場に巨大な成長の可能性をもたらすことは確実だ。
日本のみずほコーポレート銀行中国営業推進部の鈴木宏司部長によると、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほコーポレート銀行とみずほ銀行は、6月1日から日本国内で人民元と日本円との直接交換業務をスタートする。コーポレート銀の中国現地法人も中国での新業務展開に向けて積極的に準備を進めているという。
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