日本を観察する際、その国土の狭さは気にせずとも良いが、組織力と底力は無視するわけにいかない。政治不信、経済不振、内需不足、国家財政の逼迫、国際イメージの低下などが、日本国民の自信に深刻な打撃を与えている。「日本はどこへ向かうのか?」との問いが日本人の心の奥底で渦巻いている。今日本では何が起きているのか?やはりそう見えるように沈滞しきっているのだろうか?中国にとってこの隣国を研究することは、いつの時代においても大切だ。(文:劉剛・沖縄大学教授。「環球時報」掲載)
中央が無能で地方が台頭するのは日本にとって昔からの伝統だ。直接選挙で選ばれた地方自治体の長は、政党規律の束縛がないため、有権者の支持さえあれば現実の国家政治に思うがままに反対し、地方の自主権の拡大を強く主張することができる。例えば大阪府の橋下徹知事は「大阪維新の会」を組織し、人材を育成するために「維新政治塾」を開講した。政治的には国は無制限、無期限に経済に干渉してはならないと主張。自由経済政策を提唱し、国の独占に反対し、官民格差の縮小を訴えている。重要なのは、橋下氏は気勢激しい石原東京都知事が反米で有名なのと異なり、米国の支持を得られることだ。
日本国民は強い政治家の登場を切実に望んでいる。日本の政党政治の混乱は橋下氏らに歴史的チャンスを与えた。「維新政治塾」に2000人以上が集まったことは、「橋下徹軍団」の本格的な出動を意味する。衆議院選挙に300人の候補を擁立し、200議席を獲得して、現行憲法を改正し、政権を奪取することが目標だ。これは日本の政治勢力図が変わり、民主党対自民党という構図が消える可能性が高いことを示している。
政治レベルだけでなく、経済産業界でも未曾有の変革が始まっている。これは産業内部からの変革で、年功序列、終身雇用制を廃止し、企業の人事制度において「実力主義の雇用制」を確保し、「何もしない主義」の温床を根絶するものだ。かつて誇りとしていた終身雇用の日本型組織主義は、能力中心・実力重視の「実力雇用主義」に取って代わられようとしている。同時に、国は民間企業に制度面の保証を提供し、国の独占、企業活力の圧迫につながる各種「規制」を緩和する必要がある。その本質は新自由主義的戦略の実践だ。
経済産業界、財界の改革の核心は民間企業の国際競争力の強化だ。企業界の「国際化」や「グローバル化」が共通認識となりつつある。今や日本の産業界では大企業36社のCEOや経営陣83人が、招聘された外国人だ。日産自動車のインフィニティは仏ルノーから招請したカルロス・ゴーン氏の下で初めて起死回生を遂げたのだ。ソニーも同様だ。国際化の第一歩は人材獲得の戦略競争だ。このため日本企業は「グローバルな」人材の育成を重視し、潜在力のある従業員を海外に派遣して様々な生活体験や認識を得させるなどしている。外国語の習得も重視している。
隣国の日本社会は現在静かに変化し、次のテイクオフに向けて基礎を固めつつある。(編集NA)
「人民網日本語版」2012年5月24日 |