今後、富裕層が拡大していく東南アジア諸国には市場の潜在力がみなぎっている。経済産業省の「通商白書」2011年版には、アジア諸国の「中間層(年間可処分所得5千~1万ドル)および富裕層(1万ドル以上)について述べられている。日本が注視するのは、近い将来、富裕層へと上がって来る12億1千万人ものアジアの中間層である。2020年には富裕層は3億5千万人以上に拡大すると見込まれ、しかも中間層も23億1千万人を維持できると言われている。特に、欧米諸国およびBRICsの市場が成熟期に入った後は、東南アジアが世界の市場成長を牽引するはずである。
東南アジア諸国においても、日本の資金や技術を積極的に取り入れ、高度成長を遂げようとする姿勢が見られる。例えば、原子力発電所の建設を計画しているベトナムでは、日本の原子力関連の技術を積極的に採り入れている。また、首都ハノイとホーチミン間の約2,000キロメートルを結ぶ「南北高速鉄道」には、日本の新幹線方式が採用されている。インフラ整備分野において、東南アジア諸国は「ポスト中国」として世界最大の市場となるだろう。
日本の主要紙は、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を呼びかけ、対中包囲網戦略の重要性を説いている。またTPP参加国の多くは東南アジアにある。日本が「遠交近攻(遠国と結び、隣国を攻める)」外交戦略を図っている可能性は残るものの、経済市場における東南アジアの潜在力を我々も認識すべきである。日本が東南アジア戦略を綿密に進め、将来の同地域における優位性を謀るのは、その望ましい経済成長の展望を見据えているからにほかならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年5月8日 |