▽家族を養うために中国へ
日本の技術者が中国へ来るのは、経済的な理由だけではない。働きたいという欲求を強く持つ人もいる。1998年にパナソニックを辞職したオカ・トミオ氏は現在、東莞の台湾企業で働いている。「当時は大手企業で働き、収入も安定していたので、家族には反対されました。妻からは離婚すると迫られました。でも自分の未来は自分で切り開きたい。誰かが敷いたレールの上を歩きたくないのです」。
東莞での第二の人生には試練が満ちている。アイダ氏やオカ氏の働く東莞郊外の工業区には、日本の都市のような快適さ・便利さはない。
唯一の交通手段はバスだ。タクシーの多くは白タクで、外国人は詐欺に遭いやすい。スリや泥棒も日常茶飯事だ。アイダ氏は「私は戦後の時代を経験しています。当時は日本も混乱していましたから、今の環境は私にとって全く問題ありません」と語る。
かつて、韓国で働く日本の技術者は、技術を流出させたことから「裏切り者」と呼ばれてきた。しかし今、中国で働く技術者は、動機などについて質問はされるものの、それほど批判を受けていないという。
オカ氏は中国で働く動機について、「家族を養うため」と答える。「60歳で定年になりますが、退職金をもらえるのは63歳か65歳。それまで何とかしなければなりません。中国で働くことに罪の意識はない、仕事をくれる人のために仕事をするだけです」。(編集SN)
「人民網日本語版」2012年4月19日 |