▽中国製品の品質向上に有利
アナリストは、「中国で『第2の人生』を歩み出したエンジニアは、最先端技術こそ掌握してないものの、日本企業にとってはやはり打撃であり、長期的に見れば深刻な影響を及ぼす。彼らは中国メーカーに、効果的に良質の製品を生産する技術をもたらす」との見方を示す。
経営コンサルティング会社アーサー・D・リトル・ジャパンの川口盛之助氏は「鋳型製造などの技術はどれも、1つの会社が幾度も試験を重ね、大きな代価を払って蓄積したもの。日本の技術者の流出は、中国製品の品質を高め、より効率的な生産を可能にするだろう」と指摘する。
アイダ氏も「中国人技術者の技術はこの10年で向上しました。中国に来たばかりのころは、壊れなければ良しといったレベルの製品が多かった。しかし彼らの技術は急速に追いつきつつあります」と語る。
今や、日本人技術者の中国流出を阻止するのは不可能だ。三一重工、吉利汽車、BYDなどの中国企業は、技術向上のために日本人エンジニアを雇っている。これら大企業の他にも、中国には膨大な数の小規模メーカーが存在する。もちろん、全ての企業が日本人技術者を招けるほどの資金を持っているわけではないが、技術導入コストが昔ほど高くない、ということに気づく企業もあるだろう。
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