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北京週報>>中国と日本  
中国人記者が見た「日本人の鉄道愛」

 

二:線路には乗客の喜怒哀楽が乗っている

 日本全国には多くの鉄道関係の博物館が存在し、さまざまな汽車の模型や写真、実物まで所蔵している。1953年、日本に始めて全国規模の鉄道愛好家団体「鉄道友の会」が発足、昭和天皇の娘婿で、著名な鉄道通である鷹司平通が交通博物館の館長に就任した。鉄道ファンは交通博物館のある神田から秋葉原一帯を活動拠点として、その力を存分に発揮することとなった。

鉄道ファンは親しみを込めて「鉄ちゃん(てっちゃん)」と呼ばれる。また女性ファンは「鉄子(てつこ)」、鉄道ファンでない人を「非鉄(ひてつ)」と呼び、鉄道に対する熱中度を「鉄分」と表示する。ここ数年、オタク文化が盛んになるにつれ、「鉄道オタク」も彼らの新しい呼び名となった。鉄ちゃんたちは、鉄道に対する愛情をさまざまな方法で表現している。あるものは車両、装置を専門に研究にいそしみ「車両鉄」と呼ばれ、あるものは列車との撮影に夢中になり「撮り鉄」と呼ばれる。また、あるものは鉄道に関連する音声を録音して比較分析することに熱中する。彼らは俗に「音鉄」と呼ばれる。各路線の時刻表を完全に掌握しているファンを「時刻表鉄」。鉄道関係の物品収集、つまり切符や模型などのを収集するファンを「収集鉄」といい、彼らは鉄ちゃんの入門クラスとみなされている。

不思議に思う人は少なくないだろう。単調な時刻表がその人にとっては宝物になる。あるJRに務める鉄道ファンが私に教えてくれた。彼が鉄道に興味を持ったのは幼い頃に見た時刻表によるのだという。分厚い1冊の時刻表に各路線のさまざまな列車の時刻が記されており、まるで連なる列車が堂々と時刻どおりに到着するさま、出発するさまが見えるようだったというのだ。聞いたこともないような駅名を目で追っていると、まるで自分が現地に行ったかのような気分になるという。見知らぬ土地への憧れは、ほとんどの人類にある本能だろう。

日本の駅には通常小さな台が設置され、そこに「はんこ」が置いてある。この「はんこ」には駅名だけでなく、当地の景勝地や名産が記載されている。例えば、熱海駅の「はんこ」には、湯気が湧き出ている温泉、満開の桜、豊富な果物が彫られ、上のほうに「湯の香漂う、日本第一の温泉街(大意)」と記されている。これらの「はんこ」を押して収集し、後日、再度眺めては当時の旅行の気分を思い返して楽しむのだ。ある駅では切符に特殊な表示をする場合があり、番組に出た芸能人が自分の顔を乗車券に印刷する場合もある。日本の鉄道にはまだまだ人を引き寄せるものがある。例えば「駅弁」だ。現地に行かなければ食べられないおいしい弁当のために、鉄ちゃんは遠方もいとわず駆けつける。

鉄道は、単純に乗客を乗せるためだけの道具ではない。乗客の喜怒哀楽をも乗せているのだ。私は、日本の鉄道の最大の魅力は、路線ごとに現地の文化が根付いていること、そしてその連続性と拡張性にあると思う。乗客と鉄道ファンは鉄道と親しんでおり、しかもそれぞれの楽しみ方がある。これこそが日本の鉄道文化の精髄といえるだろう。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年4月9日

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