ユナイテッド航空機の中国人夫婦のケースも、もし中国の国内便であれば搭乗を拒否されることはなかったかもしれない。私の知る限りでは、中国国内の制度はかなり融通が利き、何か不満があっても、交渉やあの手この手を使って解決することができる。その結果、却って絆が深まる事だってある。
しかし、海外の見知らぬ土地ではそうはいかない。米国、日本、欧州各国などを含め、海外の制度は中国ほど柔軟ではない。「交渉で制度の壁を突破する」、「上に政策あれば下に対策あり」、「正門が駄目なら裏門から入る」といった、中国式のやり方は成立しないのだ。これから海外に行こうとする中国人観光客はこの点を十分に自覚する必要がある。
もちろん、これらのことを言う前に、私自身も中国での生活に溶け込み、郷に従わなければならない。
日本であれ、米国であれ、イスラエルであれ、少なくとも私が訪れた国の乗務員や店員、現地人の多くは「中国」や「中国人」に対して見下す気持ちや偏見を持っている。外国人は目を開き、現実を受け入れなければならない。中国の台頭が世界の政治経済に大きな影響をもたらしている以上、外国人は中国人に対する固定観念や先入観を捨て、一面だけを見てその全体像を決めつけるべきではない。私の周りの多くの中国人は、世界市民という精神を抱き、国際ルールを尊重し、中国に対する外国人の様々な批判を受け入れようとしている。
「君の中に我あり、我の中に君あり」という、各国が互いに融合し合っている関係はすでに形成されている。双方向の交流と理解が必要だ。(著者 加藤嘉一、編集SN)
「人民網日本語版」2012年3月21日 |