エッセー集「我這一代東京人」は、新井さんが現代日本をさまざまな視点からみた作品。一人の市民、そして作家としての穏やかな眼差しで、1960年代以降の日本の政治・経済・文化・環境、そして市井(しせい)の風情まで、客観的かつリアルな描写で掘り下げており、読者に真の日本の姿を語りかけている。 注目すべきは、このエッセー集は中国語で中国の読者に向けて執筆されたということだ。半世紀近くの間に、自分の家庭が貧しさから豊かさに変貌し、日本の90年代のバブル経済、環境汚染問題、国内の政治を記し、文化の息吹濃い銀座、そして老舗の「洋食屋」など……大きなことからほんのささいなことまで漏らさず描かれ、思想と智慧に満ちた文字が作品の随所に散りばめられている。それはまるで、日本の社会と同じ失敗を繰り返してはいけない、と発展途上国に警鐘を鳴らしているようにも思える。(編集HT)
*トウは「登」に「おおざと」
「人民網日本語版」2012年3月20日
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