最近、中国のテレビドラマで、お父さん役の俳優が娘役を演じている女優に、ドラマの中で「学期末試験によい成績でパスしたら、日本料理をごちそうしてあげよう」というセリフをしゃべっているのを見て、生のものを口にしない一般の中国人の好みの変化を感じ取った。中国の人たちは、広東とか一部南部の人以外、生の魚の身は口にしなかったが、日本への観光が始まっていらい、もう大勢の人たちが日本を訪れ、パック旅行のランクにもよるが、一応何らかの形で日本食を賞味してきているので、帰国後この人たちは、ときどき中国で出店している「日本料理店」で食事をしているらしい。特に「日本料理店」はダイエットによい、メタボ予防によい、と口コミで伝わっているので。
「日本料理」といっても、日本国内の本場の料理とはいくらか違ったものと言った方がよいが、とにかく、日本以外のところで賞味できる「日本料理」は、どうしてもこうした「進化形」、「変化形」とならざるを得ない。食材、調味料が必ずしも日本と同じものとは限らないし、料理人も日本人である場合は、比較的に本場風の料理を賞味することができるが、お店によっては、留学や語学研修で何年か日本に滞在した人たちが、アルバイト先で見様見まねで「身につけた」調理法で「日本料理」らしきものを作っているものもあるので、私はあえて「日本料理」という表現を使うことにした。
日本と関係のある仕事をずっと続けてきたので、私は「日本通」という「虚像」ができてしまっており、よく日本料理についてたずねられるので、ときどきいろいろな資料に目を通してなるべく常識程度のことは知っておくことにしているが、仕事でなが年日本に滞在した私にしても、日本料理を専門に研究したわけではないので、なるべく知ったかぶりをすることだけは避けている。
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