中日間の発展を続ける経済金融関係を強化するため、双方はこのほど、両国の金融市場提携の強化、二国間の金融取引の奨励、円と人民元の二カ国間取引における使用、円建て・人民元建て債券市場の健康的発展の支援等、各分野での提携に合意した。業界関係者は、「今回の措置は、中日双方の経済相互信頼関係、経済融合にとって重大な意義を備えている」と指摘した。金融時報が報じた。
中国発展改革委員会対外経済研究所の張燕生研究員は、「金融のグローバル化と各国の金融の高度発展に伴い、各国が直面している金融リスクも深刻化している。中国と日本は東アジアの金融・生産において最大の二カ国であり、金融市場の発展に向けた提携の強化により、グローバル開放の条件下で生じる構造的な金融リスクを回避することができる」と指摘した。
中国銀行国際金融研究所の李建軍アナリストは、「金融市場の発展に向けた中日の提携の強化は、アジア金融提携の縮図である。中日両国には共通点が多くある。両国とも輸出大国で、また米国にとって第1、第2の債権国でもある。特に欧州債務危機とグローバル経済成長の低迷という国際的な金融環境を受け、両国の提携意欲が高まっている」と分析した。
金融市場の発展に向けた日中の提携の強化には、以下のことが含まれる。▽貿易分野における円と人民元の二カ国間取引における使用。円と人民元の貿易決済における使用の利便性を高め、二カ国の貿易会社の為替レートリスクと取引コストを低減する。▽中国大陸部(日本企業の中国現地法人を含む)に対する日本からの人民元直接投資を許可する。円と人民元の直接取引市場の発展を促し、円建て・人民元建て債券市場の健康的発展を支援し、日本企業による東京やその他の海外市場での人民元建て債券の発行を推進する。▽国際協力銀行(JBIC)の、中国大陸における人民元建て債券の試験的な発行。
これに関して業界関係者は、「海外からの人民元直接投資は、海外の人民元を合理的に回流させ、人民元の海外流出のリスクを低減させることができる」と指摘した。さらに重要なのは、海外の人民元の回流メカニズムを構築することにより、人民元の回流が中国大陸部で規則的になることだ。これにより人民元資本口座の全面両替化に向け基礎を築くことができ、人民元の国際化にとって重大な進展となる。李アナリストは、「国際的な通貨は少なくとも、決済、投資、貯蓄の3つの機能を果たさなければならない。上述した提携内容は、貿易と投資の各分野をカバーしており、人民元に貿易決済通貨・投資通貨としての機能が備わった。これにより地域提携の米ドル化、人民元の国際化を後押しできる」と述べた。
中国国際経済交流センター研究部の王天龍副研究員は、日本による中国国債買い入れは、双方の経済相互信頼関係と経済の融合にとって、重大な意義を備えると指摘した。日本を含めたアジア諸国は、外貨準備高としての米ドルに対して、経済および資産安全面の深刻な圧力を感じており、新たな選択肢により資産価値を維持することに積極的だ。その一方で、日中両国が双方の貨幣を保有することは、両国間の経済信頼関係の強化につながる。中国社会科学院世界経済政治研究所国際投資室の王永中副研究員は、「中国が日本に中国国債の購入を許可したことにより、日本に流動した人民元建て資金に投資ルートを提供したことになる。これは日本の人民元に対する需要を高めることにつながり、人民元の国際化を促す」と説明した。
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