▽日本で大人気の中国伝統文化
日本では今、中国の伝統文化も大人気となっている。中国の古典演劇「京劇」を例にすると、中国国内では若者離れが進んでいるのに対し、日本では、記者が幾度か見た京劇公演のほとんどが満席で、完全に陶酔しきっている観客も大勢いるほどの大盛況。中国で第一線の京劇俳優として活躍し、今は日本で活動する張紹成さんなどの京劇俳優は日本で大人気となっている。
また、中国国家京劇院の看板俳優・趙永偉さんは2005年1月15日、山梨県北杜市長坂町で日本の京劇愛好家とともに、三国志の英雄たちが繰り広げる壮大な歴史名作「長坂坡?漢津口」の公演を開催。当時、同市は大雪で凍えるほどの寒さであったにもかかわらず、会場となった長坂社会会館は満席で、現地の京劇ファン以外に、遠く東京などの地からわざわざやって来たファンも多くいた。そして、チケットを買えなかったファンが、開演前にキャンセルチケットを求めて列を作り、結局買えなかった人たちが、俳優を一目だけでも見ようと、公演終了まで会場前で待っていたほど。
一方、武術や太極拳、気功、書道、水墨画などの中国伝統の技巧も、古くから日本の文化に広く影響を与えている。また、NHKが毎週日曜夜7時半に放送している「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」のテーマ曲の演奏に二胡が使われるなど、ここ数年、中国の伝統楽器「二胡」(にこ)も日本で広く知られるようになっている。そして、儒家の始祖・孔子の言行をまとめた「論語」や最古にして最高の戦略所と言われている「孫子兵法」などの中国名作書中の格言は、日本の政治や経済界の人々もよく知るところで、座右の銘としてよく使われている。
▽空前のブームを巻き起こす中国映画・音楽
近年、中国の映画や音楽などの文化商品も日本で幅広く受け入れられ、中には騒然たるセンセーションを巻き起こした作品もある。例えば、張芸謀監督が旗を振った映画「HERO」(英雄)は2003年8月より日本で公開され、興行収入が本場中国の約30億円(2億5千万元)よりはるかに多い、40億5千万円に達した。また、2008年、ジョン・ウー(呉宇森)監督が撮ったアクション映画「レッドクリフ PartI」(赤壁)が公開され、中国映画が再び話題に。2009年に公開された後編の「レッドクリフ PartII-未来への最終決戦」と合わせて、チケット売上高が101億2千万円に上り、これまた、本場中国の約70億円(5億8千万元)をゆうに越してしまった。
音楽界でも、今日本で大活躍している歌手も多い。例えば、カリスマ的人気を誇る中国のトップ女性歌手・王菲のシングル「Eyes On Me」が1999年に、オリコン洋楽シングルチャートで19週連続1位を記録するなど50万枚を越える大ヒットとなり、第14回日本ゴールドディスク大賞洋楽部門のソング・オブ・ザ・イヤー曲を獲得。2003年には、中国の古楽器演奏女性音楽グループ「女子十二楽坊」(12 Girls Band) が「自由」「奇跡」などの代表曲の入ったアルバム「女子十二楽坊-Beautiful Energy-」で日本に進出、同アルバムは約200万枚(オリコン推計約166万枚)の大ヒットとなり、大人から子供にまで愛される中国アイドルとなった。
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