第1に、政策は時期によって変化しうる。たとえば東日本大震災と原発事故の影響で、民主党は政策の優先順位と予算の支出先を調整せざるを得なくなった。同様に今後も、増税にせよ国債発行にせよ、野田新内閣も政策を定める前に、内外の経済情勢や民意の動向を総合的に考慮せざるを得ない。
第2に、政策は情勢によって変化しうる。2年前の8月、民主党は変化を求める国民の大勢を引きつけ、政権交代を一挙に実現した。2年後の現在、民主党は政策で依然因循姑息で、国民の不満は高まり、内閣支持率は下落している。情勢に応じて調整をしなければ、自民党政権の覆轍を踏むことになる。
第3に、政策はポストによって変化しうる。これに関連し、党代表選で野田氏の最大のライバルとなった海江田万里氏は、菅直人前首相の「脱原発」というスローガンについて国会答弁で鋭い論評を加えている。「首相としての発言なら『泰山より重い』。一私人の言葉に過ぎないのなら『鴻毛より軽い』」----。
外交分野も同様だ。首相選出前、野田氏は対外関係方面のいくつかの発言のために、さまざまなレッテルを貼られた。だが首相就任を前に、すでに情勢は変わっている。中日関係のみに関しても、成熟した政治家なら、安定した健全な中日関係が双方にとっても、アジア全体にとっても有利であり、大勢の赴くところであることを理解しているはずだ。
野田氏は菅前首相から厄介な状況を引き渡された。震災復興、原発事故、円高、産業流出、巨額の公債、高齢化、社会保障の重荷----。周囲の政治環境は厳しいままだ。野党は虎視眈々と狙い、党内には怨念が残っている。しかも菅前首相が野田氏に残した党代表の任期は1年しかない。大きな成果を上げるためには、頻繁な首相交代という日本政界の呪縛を解かなければならない。野田氏の直面する任務は容易ではない。対内的には団結を強化し、衆知を集めて有益な意見を広く吸収しなければならない。対外的には隣国や大国との関係を適切に処理し、共に発展を図らなければならない。
要するに、野田氏は内政・外交面で論議を呼ぶ発言をしたことはあるが、早々にレッテルを貼る必要もないということだ。結局のところ、政権を握る者には大きな情勢に順応し、大きな目標と方向性に重きを置き、大きな知恵を持つことが必要なのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2011年8月31日 |