小説家は玄関に掛けられた風水鏡のように、単に世の中の様々な姿を映し出すだけでなく、その中の矛盾を映し出すべきである。読者が求めるのは、このような小説家である。
杉本祐子氏(56歳)の自家農園は、福島原発から30.5キロ離れており、法律に定める20キロ圏内の危険区域でも、20~30キロの外出禁止地域でもなく、比較的安全な場所のはずだ。
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地震後、杉本氏は園内のうさぎが3回ほど妊娠したのを確認したが、出産はしなかった。4月に入り、ようやく一匹のうさぎが4匹の子うさぎを生んだが、その中の一匹はうさぎ特有の長い耳を持っていなかった。
麻布大学動物学の太田光明教授は「うさぎは奇形の多い動物」としながらも、「放射能の被ばくが原因である可能性も否定できない。うさぎの耳がなくなり、福島の一部地域の土壌、飲用水も汚染されていることは、まぎれもない事実なのだから。」
多くの小説家が原発事件に触れない中、村上春樹氏は「無常」を説き、日本社会の「効率」問題を批判している。
「日本語には無常(むじょう)という言葉があります。すべてはただ過ぎ去っていく。」6月9日、スペインのカタルーニャ国際賞授賞式で村上氏が言った。
「ここで僕が語りたいのは、建物や道路とは違って、簡単には修復できないものごとについてです。私たちは今回の大地震から多くのことを反省しなければなりません。我々日本人は歴史上唯一、核爆弾を投下された経験を持つ国民です。今回再び更に大きな核の被害に直面しています。自らの手で過ちを犯し、我々自身の国土を損ない、我々自身の生活を破壊しているのです。何故そんなことになったのか?理由は簡単です。「効率」です。」
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