5. 市場心理の影響。日本は世界第3位の経済国で、欧米の経済成長が乏しく、財政悪化に悩む中、円は比較的低リスクの安全な資産だと見られている。
6. 米国の超低金利政策の継続による影響。米連邦準備理事会(FRB)は近ごろ、超低金利政策を2013年半ばまで継続することを決定した。これにより、日米金利差は縮小し、米国に流れる資金は減るとの見方が強まった。これがさらに円高を促進した。
ところが、上述の要因によるプラス効果がいつまで続くかはわからない。アナリストは次のように分析する。日本政府は社会保障・税一体改革成案で、次の10年の半ばまでに段階的に消費税率を10%に引き上げることを表明した。しかし、日本が長く続いているデフレ状況を脱していない中で、この目標を達成できるかはわからない。しかも、震災後の再建にも大規模な財政援助が必要だ。日本政府が先日公表した経済財政の中長期試算によると、2015年度までに消費税を現在の5%から10%に引き上げても、2020年度の国と地方の基礎的財政収支は約18兆円の赤字になる見通しだ。さらに、日本経済研究センターの岩田一政理事長は、日本は2017年には経常赤字国になるとの見方を示した。これは、円高は輸出に不利だが、原発事故が発生したことで火力発電の割合が上昇すると見られ、そのために発電に必要な燃料を大量輸入しなければならず、貿易収支の悪化につながるとの考えからだ。日本の財政と経常収支がともに赤字になれば、日本も米国のように、海外投資家に国債を大量に購入してもらわなければならない。そうなれば、日本の信用も試練に直面することになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年8月18日 |