国務院発展研究センターマクロ経済研究部は先ごろ、分析報告書を発表し次のように指摘した。3月11日の東日本大地震と津波の発生から5カ月が過ぎた。地震の影響を受け、中日貿易の伸びはいくらか鈍化した。特に中国の日本からの輸入の伸びが大きく鈍化している。今後の対日貿易において、輸入が輸出を上回る傾向は変わらないが、貿易赤字は縮小する可能性が高い。
2002年以降の中日貿易の赤字総額は2000億ドルを超えている。中国の対日貿易には、長期にわたって巨額の赤字がみられた。過去10年間の中日貿易の年平均伸び率は14・4%で、中国の貿易全体の伸び率21・2%を下回っており、中米、中欧、中韓の貿易の伸び率と比べても、その差は大きい。
報告は次のように指摘している。今回の地震による世界の貿易への最も直接的な影響は、主に日本で生産されていた部品の輸出がとどこおり、減少したことだ。21世紀に入り、グローバルな分業がより明確になり、日本が研究開発したハイテク製品と部品は、世界の市場で大きなシェアを占めるようになった。その結果、これらの製品は中国が日本から輸入する製品の大部分を占めるようになっている。東日本大震災以降、電力供給の不足は日本の輸出製品製造業に影響を与え始め、中国が日本から輸入する部品、集積回路などは大きな影響を受けた。
日本の関連産業の在庫には限りがあり、製品を納期通りに、注文量すべてを輸出できる保証がないため、中国の一部の企業は部品を入手することができず、企業の生産と製品の輸出に影響が出始めている。また、日本が繰り返し余震に襲われていることから、中国企業は自身の産業サイクルの安定性を保証するため、代替製品を選ぶ際にあたって、できる限り日本で生産される製品の輸入を避け、比較的安定して輸入できる輸入先をさがしている。この二つの要因により、中国の日本からの輸入の伸びは急速に鈍化している。
輸入の伸びは鈍化しているが、中国の対日輸出は大きな影響を受けていない。重要なことは、今年3月以降、中国の対日輸出の伸びが輸入を上回っていることで、長期にわたって続いてきた輸入の伸び輸出を上回っていた状況に変化が生まれている。
震災の復興が進み、生産が回復するのにともない、中日貿易は回復してくるだろう。そのため、東日本大震災が中日貿易に与える影響は長期的なものとはならない。特に中国は「輸入を拡大し、輸出を促して貿易の均衡を保つ」戦略方針を継続するため、大口商品やハイテク製品の輸入はさらに増えるだろう。日本は今後の震災復興過程において、一次製品や機械設備が大量に必要になることから、中国の鋼材、建材、工作機械、家電製品の対日輸出は増えるだろう。日本政府がエネルギー戦略を見直し、太陽エネルギー、風力エネルギー、潮力エネルギーなどの新エネルギーを積極的に導入する可能性もあり、そうなれば関連する中国の川下製品の輸入が拡大するだろう。そのため、今後の中国の対日貿易構造をみると、輸入が輸出を上回る傾向は変わらないが、貿易赤字が縮小する可能性は高い。
中華人民共和国駐日本国大使館ウェブサイトより2011年8月11日 |