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中国と日本  
日本のノーベル賞に対する姿勢に学ぶべきもの

 

                                            熊丙奇 21世紀教育研究院副院長

ノーベル化学賞は6日、日本の科学者2人と米国の科学者1人が共にその栄光に浴することになった。2008年に下村修氏が受賞して以来、日本人は3年のうちに2回も化学賞を受賞。これで化学賞は7度目、ノーベル賞を受賞した日本人及び日系人は18人に達した。

意外に感じたのは、2人の科学者が受賞した際の日本各界の感想だ。

メディアによると、今回の受賞者の鈴木章氏は、日本では理系を目指す若者が少なくなっており、この現状を憂えると語り、「理系の発展は、日本のような資源の乏しい国にとっては重要だ」とも強調したという。

02年の化学賞を受賞した田中耕一氏は「日本では、化学は遅れた研究部門だと考えている人がいたが、お二人の受賞で、8年後にようやく心理的負担から解放された」と話す。

08年物理学賞受賞の益川敏英氏は祝賀の意を表すとともに、「受賞は数十年前の仕事が確実に認められたことであって、日本の今の研究レベルがどうかということではない」と指摘。

この3人のノーベル賞受賞者の言葉から、あるいは、ある側面から、日本の科学研究が世界の舞台で刮目されるのはなぜか、が見て取れるだろう。日本政府は01年3月に制定した第2次科学技術基本計画で、50年かけて30のノーベル賞を受賞する方針を打ち出した。すでに最初の10年で9つを受賞。だが日本は、その「狂喜」に浸ることなく、現実的な問題である、理系を目指す若者が少なくなりつつある、化学は遅れていると考えられている、受賞により現実にある科学研究上の問題を覆い隠すことはできない、ということを非常に冷静に認識しているのである。

これはかなり客観的な分析だが、オバマ米大統領は先ごろ、「米国の学生は外国の学生に、とくに数学や科学の面で遅れを取っている。こうした状況は改める必要がある。米国の将来は米国の教育制度の改革にかかっているからだ」と強調。わが国では、メディアの調査によれば、工業化と都市化、近代化のうねりの中にあって、建設や科学研究に携わる多くのエンジニアが必要とされている。だが、優秀な学生の多くは仕事のきつい水利・水力発電や測量・製図、鉱山といった工業関連の専門に「身を投じ」ようとはせず、金融や銀行、法律など「名があり、利がある」人気のある業種へと流れている。スマートでファッショナブルな「ホワイトカラー」、「ゴールデンカラー」になりたいと思っているのが実情だ。

想像するに、もし中国人がノーベル賞を手にしたら、国内はどんな狂喜の雰囲気に包まれるのだろうか。実際、この数年来、教育界と科学技術界には、この面ですでに素晴らしい成果を収めていながら、ただノーベル賞、というこの「真珠」の輝きに欠けている、と言われてきた。00年に「中国ノーベル賞」と称する最高の科学技術賞を設立して以来、メディアも毎年、受賞者の学術成果の報道に力を尽くしているが、その中にノーベル賞を受賞した人がいないことが気がかりのようだ。だが、多少とも冷静に考えれば、分かることだ。彼らが受けた教育は、多くが60年または50年も前、収めた成果も、大半が20年または30年以前である。現在の教育と科学研究の成果を示すものではない。

今後10年間に、「教育大国」「科学技術大国」を「教育強国」「科学技術強国」にするのが、わが国の教育・科学技術計画の目標である。この目標を実現するには、日本や米国などのノーベル賞に対する姿勢をしっかりと学び、いかに人材育成や科学研究に対処しているかをじかに目にし、教育・科学研究管理制度を「持ち込む」ようにすれば、いいのではないか。日本の50年長期計画に比べ、10年というわが国の強国計画によって、新たな「政治的プロジェクト」が生まれるのかどうか、その一方で、真の教育と学術の発展とともにどこまで漸進できるのか、見極めたいと思う。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月11日

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