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中国と日本  
残留孤児の友、友好交流の架け橋

──中日を題材に小説を書き続ける作家・于強さん

劉 幸宇(神戸学院)

美しい花々が咲き誇る中日文化交流という花園を苦労して手入れしてきた一人の庭師がいる。20数年間、彼は日本の残留孤児の実情などをテーマに、余暇を利用して4篇の長編小説を書き上げ、中国と日本を題材とした小説の大家となった。それは、中国作家協会会員の于強さんだ。

于強さんの名前はずっと聞いていたが、彼と知り合ったのはある縁がきっかけだった。80年代、北京の外事部門で仕事をしていた私は、彼の処女作『風媒花』(日本語題名『風媒花─流れる星の下で』)が日本で大きな反響を呼び、当時、残留孤児を描いたこの佳作について何人かの日本人から感激したという感想を聞かされた。1990年初め、神戸学院大学で学んでいた私は、同大の倉田彣士学長から于強氏の作品が収められた詩集を贈られた。そして、于強氏など中日交流に熱心な文化界の友人の協力もあって、神戸学院大学と中国の大学は頻繁に交流するようになった。1995年秋、日本の著名な徐悲鴻研究者である松谷省三氏とともに上海、南京、宜興など徐悲鴻ゆかりの地を訪れた私は、倉田学長の紹介で于強さんとお会いすることができた。当時、上海市現代管理研究センターに転任したばかりで対外文化交流を担当していた彼は、親切に仕事をてきぱきとこなし、私たちの訪問の主旨を知ると早速、各訪問先の担当者と連絡を取ってくれた。07年春、彼の新作『櫻花璀璨』とそれまでの3作が各界の反響を呼んでいるという嬉しいニュースを聞き、彼の作品が人を感動させる理由は何なのか、彼はなぜ熱心に中国と日本を題材にした小説を書くのか、また、どのようにして文学の道を歩むようになったのかなど、沸々と興味がわいてきた。こうした疑問を抱えつつ于強氏に関する本や書評、報道を詳しく読むうち、最近になってやっとその答えを得た。

于強さんは1945年、江蘇省南通市に小商いを兼ねた農民の家庭に生まれた。幼い頃から聡明で文学を好み、両親の励ましのもと、文学に対する夢を叶えようと、北京大学中国文学部の受験を志す。だが、思い通りにはいかないもので、1964年の入試時に病を患い、十分に実力を発揮できず、惜しい結果となった。翌年、その屈辱を晴らすべく努力した彼は、再び大学入試を受け、北京大学の国際政治学部への入学を果たすが、希望に胸をふくらませた彼の文学に対する熱意は衰えることがなかった。しかし、彼を気落ちさせたのは、入学して1年足らずで「文革」が勃発したことだった。学生らは「階級闘争」の渦に巻き込まれ、文学界・芸術界はいずれも沈黙を守り、ただ革命模範劇だけがわが世の春を謳歌し、あらん限りの悪罵を浴びせることに腐心する大々的な批判の文章が流行の文学となったのだ。1970年、于強さんは安徽省の解放軍部隊の農場に配属されて「再教育」を受けることになった。かくも冷酷な現実に直面した彼は、「もはや作家とは無縁の人生、文学への夢は潰(つい)えた」と天を仰ぎ大きくため息をついた。

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