中華人民共和国の成立以来、中国政府は国内各民族の平等、団結、共同の発展を実現させるため、中国の民族と宗教の実情から出発して一連の民族政策と宗教政策を制定し、実践の中でたえずそれを豊富にし、充実させている。新疆は中国が民族区域自治を実行する地方の一つとして、中央政府の民族政策と宗教政策を全面的に実行に移し、各民族人民の根本的利益を擁護し、平等、団結、互助という新しいタイプの民族関係を形成し、発展させ、強固にした。
民族の平等を保障し、民族の団結を促進している。「中華人民共和国憲法」は「中華人民共和国の各民族は一律に平等である。国は各少数民族の合法的権利と利益を保障し、各民族の平等、団結、互助関係を守り、発展させる。いかなる民族に対する差別と圧迫をも禁止し、民族団結を破壊し、民族分裂をつくり出す行為を禁止する」と規定している。
憲法は各民族の公民が憲法と法律から与えられる平等の諸権利を広く享有するのを保障している。満18歳の公民は民族、種族、性別、宗教信仰を問わず、選挙権と被選挙権を享有し、各民族公民の人身の自由と人格の尊厳は侵犯されず、各民族は自由に宗教を信仰する権利があり、各民族の公民は教育を受ける権利があり、各民族とも自民族の言語文字を使用し、発展させる自由がある。政府は憲法と法律に規定されている各民族一律平等の権利を社会生活および政府行為の中で効果的に実行に移し、保障するため、各種の特殊な政策措置をとっている。
中華人民共和国の成立後、新疆の地方政府は行政命令を発布して、「迪化」を「ウルムチ」に改め、「鎮西」を「バリコン」に改めるように、侮辱的な呼称と地名を廃除した。一部の少数民族の呼称は侮辱的意味がなくても、その少数民族の自らの意思によって改められた。例えば、1958年、ダオール族の自らの意思によって、「達呼爾」(ダフール)を「達斡爾」(ダオール)に改めた。
各民族の大団結をいちだんと強固にし、発展させるため、1983年から自治区政府は毎年全自治区で民族団結教育月間活動を集中的に繰り広げ、平等、団結、進歩が各民族人民の相互関係の主な部分となり、相互信頼、相互尊重、相互学習、相互支持、相互理解が各民族人民が共同で守る行動準則となるように、生き生きして活発な形式と時代の特徴をもつ内容で集中的に、広く、深く宣伝教育を行っている。
少数民族の自治権利は法律、制度に保障されている。中国憲法によると、各少数民族が集まり住むところで区域自治を実行することは、中国の基本的な政治制度である。新疆ウイグル自治区はウイグル族を主体とする民族自治地方である。自治区内には、その他の民族が集まり住む地区もあり、これらの地区でも相応に民族自治が実施されている。現在、全自治区にカザフ、回、キルギス、蒙古など4民族の五つの自治州およびカザフ、回、蒙古、タジク、シボなど5民族の六つの自治県があり、また43の民族郷がある。
中国の憲法と民族区域自治法の規定に基づいて、民族自治地方は広範な自治権利を享有し、地方国家機関の職権を行使すると同時に、立法権、民族自治地方の実情に合わない上級国家機関の決定に対し臨機応変に執行するか執行を中止する権利、経済発展権、財政権、少数民族幹部養成使用権、教育と民族文化発展権などを行使する。新疆ウイグル自治区人民代表大会とその常務委員会は、民族区域自治法の賦与する権利と新疆の実情に基づいて、新疆の特徴と需要に適応する各種の法規と決議を制定し、法によって民族自治地方の自治権利を保障している。2000年末現在、自治区人民代表大会とその常務委員会は地方的法規119件、法規的決議・決定71件を制定し、地方人民代表大会の制定した地方的法規31件、単行条例3件、自治区政府の制定した行政規則173件を認可した。
民族自治地方の主要指導者は自治民族の公民によって担当される。各級民族自治地方の政府主席、州長、県長はいずれも区域自治を実行する民族の公民が担当し、自治地方人民政府のその他のメンバーにも、区域自治を実行する民族あるいはその他の少数民族の人を配備している。民族区域自治および少数民族の諸権利を確実に保障するため、新疆は少数民族幹部のために学習と養成訓練の機会をつくってやることを非常に重視し、多くの少数民族幹部を内地の大学に送って学習させ、新疆でも各級民族幹部学校と民族幹部講習会を開設して、政治、経済、文化など各分野で仕事をする少数民族の行政幹部と技術幹部を多数養成した。新疆の少数民族幹部は1950年の時は3000人しかなく、新疆ウイグル自治区が成立した1955年は4万6000人しかなかったが、現在は全自治区幹部総数の51.8%を占める34万8000人に達している。少数民族の婦人幹部は全自治区の婦人幹部総数の46%以上を占めている。
少数民族は各級人民代表大会で十分な代表権をもっている。少数民族の権利を確実に保障するため、自治区の各級人民代表大会代表に占める少数民族代表の比率は、いずれも同期の少数民族人口の新疆各地区人口に占める比率より4ポイントほど高いものである。これまで各期の全国人民代表大会の新疆代表に占める少数民族代表の比率はいずれも63%以上で、同期の全自治区人口に占める比率より高いものである。
少数民族の自民族の言語文字を使用し、発展させる自由と権利は十分に尊重、保障されている。1988年と1993年に、自治区政府はそれぞれ「新疆ウイグル自治区民族言語使用管理暫定規定」と「新疆ウイグル自治区言語文字工作条例」を公布し、少数民族が自民族の言語文字を使用する自由と権利を法律面から保障している。司法、行政、教育などの分野でも、また政治、社会生活の中でも、少数民族の言語文字は広く使われている。自治区の機関は公務を執行する時、二種以上の言語文字を同時に使用し、各自治州、自治県の機関は公務を執行する時も、同時に自治民族の言語文字を使用している。少数民族は自民族の言語文字を使って選挙、訴訟する権利がある。報道、出版、放送、映画、テレビは民族の言語文字を広く使用している。新疆人民放送局はウイグル、漢、カザフ、蒙古、キルギスなど五種の言語で放送し、新疆テレビ局はウイグル、漢、カザフなど三種の言語のチャンネルがあり、ウイグル、漢、カザフ、キルギス、蒙古、シボなど各民族はいずれも自民族の文字の新聞と書籍がある。
少数民族の風俗習慣は十分に尊重されている。少数民族の風俗習慣は大衆の生産・生活や宗教信仰と密接な関係がある。少数民族の風俗習慣を尊重するため、中央と自治区人民政府は一連の規定を公布した。少数民族特にイスラム教を信仰する民族の特需食品の供給を保障するため、人民政府は法規を公布し、一連の具体的措置をとっている。例えば、大中都市およびモスレム大衆のある小さな町で一定数のイスラム料理店を保ち、交通の要衝および少数民族従業員のある部門では「イスラム食堂」を設け、モスレム大衆に供給する牛羊肉は、その習慣に従って屠殺、処理し、別途に貯蔵、輸送、販売している。各少数民族は「クルバン祭り」、「断食止め祭り」など自民族の伝統的祭日に法定の休暇と特殊食品の供給を享受することができる。土葬の習俗のある少数民族に対し、政府は火葬を提唱せず、専用の土地を割り当て、専用の公墓をつくるなど具体的措置をとって保障し、結婚式、葬式、割礼、宗教名付けなど宗教的色彩を帯びる民族の風俗習慣に対し制限を加えていない。
少数民族の教育水準はたえず向上している。新中国成立後、少数民族の教育が非常に立ち遅れている状況を変えるため、政府は一連の措置をとって、少数民族の教育事業発展を教育活動の重点とし、発展計画、資金投入、教師養成などの面で少数民族の教育を重点的、優先的に按配、助成している。牧畜区の民族教育の立ち遅れている問題を解決するため、政府は多額の資金を投じて牧畜区で寄宿制学校をつくり、牧畜区の寄宿制学校、中学・高校および大学、中等専門学校の少数民族の特別貧困学生のために助学金を設立している。例えば、2002年は寄宿制学校に無料で1200万元の教科書を提供し、3000万元の助学金を援助した。南部の少数民族の集まり住むホータン、カシュガル、アクス、クズレスコルクズ自治州など四つの地区と自治州で義務教育の段階にある小中学校の生徒に対し無料教育を実行し、義務教育の期間を延長し、少数民族の生徒に9年ないし12年の義務教育を受けさせている。その他の辺境地区の県と貧困県にある小中学校に対し、学費や教科書代を免除している。自治区が独自に設立した少数民族の小中学校は5882校に達し、全自治区の小中学校総数の69%を占めている。同時に、少数民族と漢族の生徒が一緒に受業する学校も少なくない。現在、全自治区では構造が合理的で、多段階で学校を運営し、協調して発展する少数民族教育体系が形成されている。2001年現在、小学校学齢期児童の入学率は97.41%、中学校は82.02に達した。大学の入学試験は、当面の学生の実情に基づき、少数民族の受験生に対し合格点数を下げるなどの優遇政策を実行しいる。
少数民族の伝統的文化は保護され、輝かしさを増している。新疆の各民族人民は豊富多彩な伝統的歴史文化を創造し、中華民族文化の発展に独特な貢献をした。自治区政府は計画的に少数民族の文化遺産を収集、整理、翻訳、出版する活動を行い、少数民族の名所旧跡、貴重な文化財およびその他の重要な歴史文化遺産を保護している。1984年以来、自治区古書整理弁公室は少数民族の古書を5000余冊収集し、100余部を整理、出版した。伝承が絶えようとしている11世紀のカラ汗王朝の二部の大作『福楽知慧』と『突厥語大辞典』は政府の大きな支持と各民族学者の長期にわたる共同の努力を経て、1980年代にウイグル語に翻訳して出版し、その後はさらに漢語の訳本を出版した。中国の少数民族の三大英雄史詩のうち、新疆の蒙古族とキルギス族から生まれた『ジャンゲル』と『マナス』の収集、整理、翻訳、研究の活動は大きな成果をあげた。ウイグルの「音楽の母」とたたえられるウイグル族の大型古典音楽組曲「十二ムカム」は、新中国の成立前に絶滅に瀕していたが、新疆地方政府はそれを重点的に保護する芸術品種として、その収集、整理に力を入れ、いまでは「十二ムカム」は半世紀前の二、三人の芸人しか完全に歌えない状態から、ムカム芸術団、ムカム研究室を設置し、広く歌われるまでに発展した。長い歴史を持つ伝統的民族スポーツはいっそう輝きを放ち、羊さらい、競馬、蒙古相撲、弓術などが広く普及し、大衆に喜ばれ、ウイグル族の伝統的スポーツであるダワズ(高空綱渡り)は近年来国内外に名を馳せている。
少数民族に対し漢族より緩い出産政策を実行している。具体的な状況と結びつけ、国の計画出産政策に基づき、新疆ウイグル自治区人民代表大会は「新疆ウイグル自治区少数民族計画出産暫定規定」を制定し、少数民族に対し漢族より緩い出産政策を実行し、少数民族の人口増加を保障し、新疆の少数民族の人口自然増加率を現地の漢族の人口自然増加率より高くなるようにしている。2001年の少数民族の人口自然増加率は1.304%、漢族は0.825%である。1953年に全国で第一回国勢調査が行われた時、新疆の少数民族人口は454万人であったが、2000年に第五回国勢調査が行われた時は1096万9600人に達した。
宗教信仰の自由は尊重、保護されている。新疆の少数民族の多くの人は宗教を信仰しており、ある民族は大衆的にある宗教を信仰している。例えばウイグル族、カザフ族、回族などは大衆的にイスラム教を信仰し、蒙古族、シボ族、ダオール族などは大衆的に仏教を信仰している。各民族人民の宗教信仰自由の権利は十分に尊重され、正常な宗教活動は法律による保護を受けている。現在新疆に宗教活動場所が2万4000余ヵ所あり、そのうち、イスラム教のモスクが2万3753ヵ所ある。宗教教務関係者は2万6800人おり、そのうち、イスラム教の教務関係者は2万6500人である。政府は毎年特別金を支出して重点的な寺院と教会を保守、修理し、1999年だけでも中央政府は760万元を支出してウルムチのヤンハン・モスク、イーニンのバイトゥラ・モスク、ホータンのジャマエ・モスクを再建した。
宗教界人士は政治に参与する権利を十分に享有している。現在、各級人民代表大会、政治協商会議で職務を担当している新疆の宗教界人士は1800余人おり、そのうち、全人代は一人、全国政治協商会議は4人、自治区人代は21人、自治区政治協商会議は27人いる。彼らは宗教信者を代表して積極的に政治に参与し政務を討議し、政府の宗教信仰自由政策の実施を監督している。宗教界人士が正常に宗教事務を履行するのを保障するため、政府は生活が困難な宗教人士に一定額の生活補助金を支給している。
法によって宗教団体の合法的権益を保障する。1982年以来、全自治区で88の各クラス宗教団体が回復、新設されたが、その中に、自治区のイスラム教協会が一つ、仏教協会が一つ、地区、自治州、市のイスラム教協会が13、仏教協会が三つ、キリスト教「三自愛国運動委員会」が一つ、県、市のイスラム教協会が65、仏教協会が二つ、キリスト教「三自愛国運動委員会」が二つある。各宗教団体は法律の許す範囲内で自主的に宗教活動を繰り広げている。宗教教務関係者の養成、教育、管理、宗教学校の設置、宗教の国際交流活動展開などの面で、各宗教団体はいずれも重要な役割を果たしている。
宗教活動の正常な展開を保障するため、新疆はイスラム教の高級教務要員を育成するイスラム教経学院を創設した。各地区、自治州、市のイスラム教団体は実際の必要に応じて宗教教務人員を養成するためのイスラム教経典クラスを開いた。宗教人士の知識水準を高め、資質の高い宗教人士を多数育成するため、自治区、地区、市3クラスの育成体系が確立され、政府が資金を支出して、在職の宗教教務人員を順次に育成し、参観、視察を通じて宗教界人士の視野を広げ、その見識を高めている。
宗教人士への経典など宗教読物の提供を保障している。新疆では、『コーラン経』、『ワエズ選集』、『新編ワエズ講演集』など多くのイスラム教経典と宗教書籍、および仏教、キリスト教などその他の宗教の経典がウイグル語、カザフ語、漢語などに翻訳、出版、発行された。ウイグル語版と漢語版の『中国モスレム』が発行された。信者たちに便宜を提供するため、各地では認可を得て宗教関係書籍の販売所が設立された。
正常な宗教活動は法的保護を受けている。自治区政府は憲法と法律に基づいて、「新疆ウイグル自治区宗教活動場所管理暫定規定」などの法規を制定、公布した。信者たちは各自の信奉する宗教の規則、礼儀などに基づいて正常な宗教活動を行い、法律の保護を受けている。ここ数年来、新しい活佛の転生が円満に行われ、人民生活のレベルアップにともない、数万人のモスリンがメッカに行って参拝し、経学院の学生が国内外の『コーラン経』読経コンテストに参加し、素晴らしい成績を収めた。
「北京週報日本語版」 資料 |