李克強総理は20日、今年最後の外遊を終えて北京に戻った。今回の外遊の目玉は「周辺外交」であり、訪問した3カ国中、カザフスタンとタイは共に中国の周辺国だ。李総理の帰国後間もなく、タイのプラユット首相も訪中を開始する。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国と周辺国との頻繁な行き来は決して偶然ではない。元々周辺外国は中国外交の伝統的布石における重要な柱の1つであり、主要な地位を占めている。近年中国は周辺国重視の姿勢を強め続けている。昨年10月に新中央指導部が召集した最初の重大な外交活動会議が周辺外交活動座談会であり、周辺外交の戦略目標、基本方針、全体的配置を確定し、トップレベルデザインをさらに明確化した。今年10月には中央外事活動会議を招集。習主席が新情勢下における外交戦略・配置の開拓・深化について指示を出した際、最初に言及したのが周辺外交であり、大国関係、発展途上国との関係、多国間外交はその後だった。中国の外交的布石における周辺外交の地位が一層明らかとなった。
「大周辺」の布石が次第に完全なものとなっている。中国新指導部は発足後、周辺国を相次いで訪問した。2013年に習近平主席はロシア、中央アジアのトルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、東南アジアのインドネシアとマレーシアを訪問。2014年には北東アジアの韓国、アジア中部のモンゴル、中央アジアのタジキスタン、南アジアのモルディブ、スリランカ、インドを訪問した。同年11月には南太平洋のオーストラリア、ニュージーランド、フィジーを訪問した。国力と国際的影響力の高まりに伴い、中国の周辺外交の内容と外延は不断に延伸し、範囲はもはや国境を接する国に限られず、さらに広範な大周辺地域へと拡大している。
中国の周辺外交は一層積極的かつ有為になっている。中国は外交において主導的に「議題設定」を行っている。今年のアジア信頼醸成措置会議(CICA)首脳会議という重要なホームグラウンド外交の機を借りて、習主席は演説で共通、総合、協調的、持続可能なアジア安全保障観を打ち出した。アジア安全保障観は武力による威嚇ではなく、協議と対話を提唱する。相互排斥ではなく、開放と包容を提唱する。ゼロサムゲームではなく、協力・ウィンウィンを提唱する。中国は不安定化要因が増えているアジア太平洋の現状を前に、共に築き、共に享受する、ウィンウィンの安全保障の道を歩むよう呼びかけた。アジア安全保障観はアジア諸国の広範な賛同と支持を得た。
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