中日関係は「安倍苦境」に直面
今回中日関係に改善の機会が訪れたのは、日本の政界と社会にこれ以上の中日関係悪化を望まない力がまだ存在し、また中国政府もあくまで4つの基本文書に基づいて日本と戦略的互恵関係を築くことを望んでおり、この改善のチャンスを大切にしているからだ。
中日関係再構築のために、今年、高村正彦自民党副総裁、太田昭宏国土交通大臣・元公明党代表、海江田万里元民主党代表、福田康夫元首相及び麻生太郎副首相兼財務大臣が相前後して訪中し、中国高官と意見交換した。9月下旬、中日高級事務レベル海洋協議が再開された。10月上旬、李小林中国人民対外友好協会会長が訪日し、安倍首相と面会した。10月下旬、ボアオ・アジア・フォーラム理事長で元首相の福田康夫氏が再び訪中し、習近平主席と面会した。そして習主席が最終的に安倍首相と会見したのも、双方の関係改善の努力を無駄にしないよう、誠意をもって中日関係が正常軌道に戻るための歴史的な機会を設けることを望んでのことだった。
しかし、安倍首相の「習・安倍会談」の意義と中日関係改善に対する理解は、どうやら中国と非常につり合いがとれていないものらしい。安倍首相は中日首脳会談をその外交戦略の1つのステップと見なし、首相就任当初から地政戦略外交の全面的手配と実施を終えてから中日首脳会談を実現する腹積もりであり、それによって対中外交で優位に立とうとした。だからこそ、日本のある著名な学者が「習・安倍会談」は安倍外交の勝利だとはばかりなく宣揚し、安倍首相が言うところの「法の秩序」と「価値観外交」を中国が受け入れざるを得なくなったことの表れだ、と言っているのだ。また、日本は中日首脳会談を韓国孤立化のための世論手段にしてしまった。日本がこのように中日関係と「習・安倍会談」の意義を理解するのであれば、今後適切に「4つの原則的共通認識」を徹底できるか否かについて、確かに懸念を抱かざるを得ない。
実際、中日関係は現在戦略的苦境に陥っている。この苦境は客観的に見て必要だったわけではなく、安倍政権の対中政策によって決定づけられた部分が大きい。そのため、仮に「安倍苦境」と呼ぶことにしよう。
安倍首相の政治戦略と対中外交は密切に関わっている。安倍首相の政治目標は日本が「脱戦後体制」し、集団的自衛権行使を容認し、「平和憲法」を変更し、日本が軍事力で国際政治舞台において大国としての役割を果たせるようにすることだ。この戦略は実施過程において必ず多くの面で中日関係を犠牲にすることになる。「脱戦後体制」という保守主義思想は、安倍政権が歴史問題で大悪を敢えて犯さなければならないことを決定づけた。そしてこれを基盤に軍事政治大国の地位を勝ち取ろうとしたことで、中国に日本の行く末を懸念させることになった。さらに重要なことに、日本国民に集団的自衛権行使容認と「平和憲法」変更の必要があると思わせるには、それに足るだけの大きな外来脅威をでっち上げなければならなかった。こうして、中日間の島争いと中国の国力の急成長が、安倍政権の中国攻撃の手近な口実になった。まさに安倍首相の国家戦略によって、中日関係は解決の難しい苦境に陥ったのである。
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