２０１３年末、親ロシア派のヤヌコーヴィチ・ウクライナ大統領が欧州連合（ＥＵ）との政治・自由貿易協定の調印を見送り、ロシアとの関係を強化しようとしたことで、キエフでウクライナ親欧州派による反政府デモが勃発。抗議デモ参加者が政府にＥＵとの協定調印とヤヌコーヴィチ政権退陣を要求する事態となった。２０１４年２月２２日、ヤヌコーヴィチ大統領は議会から大統領の職務を罷免された。その後、ウクライナ東部の親ロシア地域が独立もしくは自治を要求し始め、３月１１日、クリミア議会はクリミア独立宣言とロシア連邦への編入を可決した。５月、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州が独立「主権国家」設立を宣言し、キエフと東部地域の衝突もヒートアップしていった。５月２５日にウクライナ大統領選挙でポロシェンコが当選し、続いてＥＵとの連合協定を批准。これはウクライナがＥＵ加盟準備を正式にスタートさせたことを意味していた。ウクライナ情勢に変化が見られない中、東部の反対派が掌握する地域でマレーシア航空機がミサイルに撃墜され、乗客乗員２９７人全員が死亡、政府と反対派は互いに相手側が航空機を撃墜したと非難した。西側はロシアがウクライナ東部分裂勢力を支持したとして対ロシア制裁を開始した。その後９月にウクライナ危機当事者はベラルーシの首都ミンスクで停戦協定を締結したが、協定は十分に守られていない。現在も当事者間の競い合いは続いており、危機解決の兆しは見えていない。