全国人民代表大会代表を務める中国人民大学の陳雨露・学長は、次の通り述べた。
中国語学習に熱中する外国人が増加の一途を辿るにつれて、孔子学院の人気も高まり、中国文化が世界的なブームになっている。この背後には、中国の総合力が上がり続け、「中国の夢」が世界に及ぼす影響力が高まり、国家のハード力が向上するに伴いソフト力も向上しているという現状がある。
グローバル化が進む中、中国と一切関係を持たずにいられる人は誰ひとりとしていなくなった。我が子が中国に対する理解を深め、できれば中国語を少し学ぶよう導くことが、多くの人にとっての選択肢となっている。
○極端に不足する「外国語で孔子を語れる専門家」
「最も正しかったのは、『孔子学院』と名づけたことだ。孔子の名は、全世界の人々が認識している!」とは許琳氏の言葉だが、独ゲーテ・インスティチュート、スペイン・セルバンテス学院、英ブリティッシュ・カウンシル、仏アテネ・フランセなどの国際文化交流機関の責任者は軒並み、許氏と同じ内容を述べている。世界に名を馳せた文化のシンボルである「孔子学院」という名は、国際文化交流に放たれた中国文化の光であり、中国文化の「最大公約数」が凝縮されている。
他の新しい事象と同じように、孔子学院も成長途上で困難に遭遇している。
各国に設立された孔子学院では、当初は歌やダンスを教え、生徒の興味を引き出すことに力が注がれた。次に、生徒を中国語日常会話の習得に取り組ませた。第三段階として、成語(四字熟語)を教え始めた。数年後、多くの学生は自然に孔子の研究に関心を持ち、中国文化を研究し始めた。だが、この分野の教師の教学レベルは、国内の教師に遠く及ばなかった。外国語を駆使して外国人が聞いて理解できる方法で、中国の伝統文化や現代生活を教える能力を備えた専門家は、あまりにも少なかったのだ。
許琳氏は、「我々は、各大学に対し、孔子、儒教思想、中国の文学・歴史・哲学について外国語による講義ができる専門家の名簿を提出するよう求めた。その結果、合計2千人にも及ばないことが明らかになった。人材不足問題を一刻も早く解決しない限り、孔子学院の存続が危ぶまれる」と指摘した。
このほか、孔子学院は、「外国人教師」「大躍進」「資金の浪費」などの問題に向きあっている。
許氏は、「国家がこの10年間で孔子学院に投入した資金は、欧州国家が4キロメートル分の高速鉄道を建設する資金とほぼ同額だった。このうち6割は、教師とボランティアの人件費で、海外の大学の資金投入額は、これよりはるかに多い。高速鉄道4キロは、地上交通における重要ツールだ。一方、優れた中国伝統文化の重要因子である孔子学院は、『こころの高速鉄道』の建設を進めており、この路線は果てしなく続くであろう」と語った。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年3月11日
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