▽日系テレビブランドは徐々に忘れられる
日立やパナソニックなどのブランドがもうじき中国市場を去るというニュースは、ある年齢以上の人にとっては感慨深いことだと思われる。この人たちの多くが初めて見たテレビはこうした日系ブランドだったからだ。だが実際には、日本の老舗テレビブランドは数年前から影が薄くなっている。東芝が中国市場で販売する液晶テレビは、2010年からほぼすべて中国のテレビメーカー・TCLがOEM生産を手がけており、このため東芝中国法人はTCLと合弁で東芝視頻中国有限公司を設立した。だがこのような取り組みにもかかわらず、東芝の液晶テレビは中国市場ではもはや主流の製品ではなく、取り扱いのない家電販売店も多い。こうした点を考えると、大連工場を閉鎖しても中国市場にはそれほど影響はないといえる。
パナソニックも同様だ。プラズマ戦略を堅持してきた結果、液晶テレビの研究開発や生産で機会を失い、ここ数年間、液晶テレビが圧倒的な優位を占める中で、パナソニックのプラズマテレビは居場所を失っていった。家電売り場のスペースがどんどん小さくなっていったことからも、このことが十分にうかがえる。家電産業ウォッチャーの劉荷清さんは、「しっかりした製品がなければ、たとえ機先を制しても、そのうち徐々に忘れられる。目まぐるしく変化する電子消費製品の分野では特にそうだ」と話す。現在、中国市場で挑戦を続ける日系テレビブランドはサンヨー、ソニー、シャープの3社だけになってしまった。
▽日系大手 世界的「ダイエット」で家電事業を手放す
日系ブランドテレビが中国市場から相次いで撤退していることは、中国のテレビブランドの急速な発展ともとより関係がある。だが日本の老舗電機メーカーの新たな情況下での主体的な戦略調整も、テレビ事業を次々に手放した重要な原因だ。特に重要な点は、日系企業は競争が激しい電子消費製品ではもうけが出なくなったと考え、特に人材コストをかけなければ利益が上がらない場合には、すっぱりと事業を手放しているという点だ。このため東芝もパナソニックも日立も、テレビ事業を手放したのは実はグローバル事業配置を全面的に考慮してのことであり、中国市場からの撤退だけを考えたわけではない。
東芝のケースをみると、大連工場の閉鎖はグローバル規模のテレビ事業の調整・縮小戦略における重要な一貫だ。これに先だってポーランドのテレビ工場を台湾企業に売却しており、ここから東芝の世界三大テレビ加工拠点のうち、来年も残るのはインドネシアの工場だけだということがわかる。またパナソニックのプラズマからの撤退は世界規模の戦略ゆえだ。日系大手は実は、家電事業を徐々に手放すと同時に、よりハイエンドの技術やプロジェクト事業で布陣を敷いている。プラズマテレビ事業が終了すると、研究開発担当者たちはより未来的な有機ELテレビの研究開発を担当することになる。東芝の現在の主要事業は医療機器、デジタル家電産業の川上の半導体コア技術などだ。日立はすでにテレビ事業を手放し、クラウドコンピューティングやスマートシティといった分野に全力で方向転換しており、「テレビ事業がなくなり、かえって業績は好調」だという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年12月17日 |