だが市場の変化は欧州や米国で起きているだけではなく、東芝のテレビはお膝元の日本でも売り上げが停滞気味だ。
▽製造業から集団退去
実際、海外のテレビ工場を閉鎖するのは東芝だけではない。薄利の時代に突入したテレビ業務は、日系企業にとって大きな赤字が出る分野になっており、長らく赤字に苦しむ日本の消費電子製品大手が海外のテレビ工場を閉鎖したり手放したりする動きは、今や珍しいことではなくなった。
ソニーは2009年にメキシコで、10年にスロバキアで、それぞれテレビ工場を台湾地区の鴻海科技集団に売却した。同じく台湾地区の仁宝電脳も09年、シャープの台湾での製造代行(OEM)企業となった。今年4月には、シャープが海外のすべてのテレビ工場(4カ所)の売却を検討していることが伝えられ、これには南京の工場が含まれる。10月31日にはパナソニックの取締役会がプラズマテレビ市場からの撤退を宣言し、これに先だって操業を停止していた上海市のプラズマテレビ組み立て工場は、昨年11月の時点ですでに操業を停止して清算を終えるとともに、関連資産を山東省にある液晶テレビ工場に移した。
だがこのような動きをみせる日本の消費電子大手たちが、テレビ市場からの完全撤退を考えているわけではないことは明らかだ。各社が撤退しようとしているのは、テレビの製造業だ。今年に入ってから、世界のテレビ市場における日本ブランドのシェアは低下を続けているが、それでもまだ相当なシェアをもっている。
日本の総務省が今年10月23日に発表した国際競争力調査の報告によると、日系液晶テレビの世界シェアは25.3%、日系プラズマテレビは23.2%だという。
こうした情況の下で、日本の消費電子大手のほとんどがOEMを選択してテレビ業務の資産の軽量化をはかろうとしている。中国の情報・通信コンサルティング会社の易観国際の卓賽君・上級アナリストによると、資産を軽量化して運営を進めれば、物流コストと生産コストを引き下げ、出費を減らし、テレビ業務の負担を軽減することができる。海外工場を閉鎖してOEMを活用する資産軽量化を踏まえた運営は、世界でのテレビ販売台数が減少し、再び赤字に陥った日系企業にとって、赤字業務を切り捨てるのとは本質的に異なる選択だという。
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