パナソニックはその方向性をこのように打ち出しているものの、家電アナリストの梁振鵬氏は、運営モデルの転換と非主要業務の分離という日本企業による説明は成立しないと主張する。こうした企業が手放しているのは核心的な利益を生むはずの業務だからだ。電機メーカーにとって、生産は疑いなく利潤を生む部門である。サムスンやLGなども生産部門は自社でコントロールし続けている。
例えばソニーは2011年末、サムスンと合意を達成し、2004年にサムスンと設立した会社「S-LCD」の50%の株式を9億3500万ドルで売却した。この取引を通じて、サムスンはS-LCD社の全資本の保持者となった。S-LCD社は主に、テレビに使われる大型液晶パネルを生産するメーカーである。
梁振鵬氏によると、ソニーが液晶パネル部門を売却したのは賢い選択とは言えない。「知られているように、大型パネルの上流業務はカラーテレビの製造にとって核となるもので、コストの引き下げや製品競争力の向上にとって極めて重要な業務だ」。梁氏は、ソニーがこのような核心的業務を分離したのは資金難のためだと見ている。
▽資金難による短期的措置
業務の分離のほか、日系企業の戦略には反復の現象も現れている。
今年4月、パナソニックは中期業務計画を発表し、今後2年で2500億円(約27億ドル)を投じて新たな再編を行い、苦境を脱する計画を打ち出した。自動車と住宅開発の業務を重点開拓分野とし、消費電子業務を縮小させることも発表された。パナソニックの津賀一宏代表取締役社長はさらに、海外の健康医療業務への投資先を探していることも明らかにした。同じ頃に行われた第69回中国国際医療器械博覧会では、パナソニックヘルスケア株式会社の大友部長が、中国市場における医療業務への投資を強化していくとこれに唱和した。
だが今年8月には、パナソニックの医療業務の売却の話が持ち上がり、東芝と米プライベートエクイティ投資会社のKKR、米ベインキャピタルが交渉先として浮上した。
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