あるデータによると、アベノミクスは短期的には確かに一定の成功を収めた。消費者物価指数(CPI)は14カ月連続のマイナスから今年6月はプラスに転じた、エネルギーと食品を除くコアCPIの低下幅は縮小し、デフレ率は今年9月に0になった。日銀のデータは楽観的で、13年度の日本経済の成長率は2.7%、インフレ率は0.7%となり、15年にCPI2%の物価安定目標が達成されると予測する。
だがGDP成長率は今年第1四半期(1-3月)の4.3%、第2四半期(4-6月)の3.8%に比べ、第3四半期は1.9%と明らかに低下した。東日本大地震で東京電力の福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故が発生してから現在まで、日本は大量のエネルギーを輸入し、純輸出が純輸入を下回る赤字が続いており、9月の輸出は前月比11%の増加にとどまった。これと同時に、第3四半期のGDP報告によると、個人消費が前期比わずか0.1%の伸びにとどまり、輸出は同0.6%減少し、同期の増加分は主に政府の公共投資によるものだった。企業の設備投資も同0.2%増加にとどまった。
実際、早い段階からアベノミクスが直面する課題について指摘する分析はあった。第一に、日本経済は成長の鈍化、政府債務の規模拡大、消費需要の低迷、産業の国際競争力の低下、人口高齢化、人口の減少といった複雑に絡み合う難問に同時に直面している。解決には力強い構造改革をうち出すことが必要だが、構造改革はあいにく現在では最も進展の遅い項目だ。第二に、金融緩和と積極的な財政政策による操作の可能性には限界があり、日銀は政府債権を購入して長期名目金利を抑え、積極的な財政政策を実施し、商業の固定資産投資、住宅投資、消費を促進しようとしているが、日本の10年物国債が政府債権に占める割合は1%にも満たず、政府債務残高の対GDP比は来年は240%に達するとみられる。第三に、現行の政策では所得分配がさらにバランスを失うことになる。現在の政策の受益者は大企業、証券や不動産を保有する高所得層が中心で、小規模企業や低所得層は受ける恩恵が小さい上に、エネルギー価格や食品価格の上昇にも耐えなければならない。日本が構造改革を十分に行わなければ、インフレ目標を達成するために増発した通貨は価格をつり上げるだけで、生産の伸びにはつながらず、日本はデフレからスタグフレーションに進む可能性がある。
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