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日本の財政危機の教訓

 

1970年代に西側先進国は相次いでスタグフレーションに陥り、ケインズ主義の財政政策を放棄した。ケインズ財政政策による経済コントロールを堅持し続けたのは日本だけだ。積極財政政策は1960年代から80年代初めの日本では割合効果があったようだが、その後は効果が明らかでなくなった。バブル経済崩壊後は、財政コントロールはほぼ完全に効果を失った。

積極財政政策が日本で効果を失った根本的原因は経済そのものにある。経済がなお先進国に「追いつけ」の過程にあり、潜在的成長力がある時には、積極財政政策によって、一時的に低迷した市場需要を刺激し、経済回復を促すことができる。だが「追いつけ」の段階が終り、自らの革新能力が伴わず、経済が成長の活力を欠く時には、どんなに公共投資や財政刺激を行っても、経済の起死回生は難しい。日本の経験と教訓は、財政刺激が経済の持続的、安定的成長という問題の根本的解決にはならないことをわれわれに告げている。

できるだけ早く社会保障システムを整える必要がある。日本は1961年から全国民をカバーする医療保険制度と年金制度を構築し、その後も退職年齢の引き上げ、年金受給年齢の段階的引き上げ、社会保障システムの強化、社会保障基金の徴収・管理の強化、医療費の個人負担率の引き上げなど大きな調整を数回行ったが、それでも人口高齢化による社会保障費の急速な増加への対応に苦慮している。

日本と比べて、中国は全国民対象の医療保険、年金制度の歴史が短く、基盤も弱い一方で、高齢化のスピードは日本を上回る。今後、財政の社会保障負担はどんどん重くなる。中国は日本の教訓を汲み取って、今後30年ないし50年に着眼して社会保障システムを見極め、高齢化社会の進行に見合った社会保障収支構造を構築して、社会保障費の増加による政府債務の膨張を回避することを急がねばならない。

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