ほぼすべての中国人が、戦後の日本経済の輝かしい高度成長について聞き知っているが、あいまいな概念しか持っていない人が多い。細かく追究すれば、100年前以上のディケンズの名言「それは最良の時代でもあり、最悪の時代でもあった」が、高度成長期の日本にも当てはまることを知るだろう。有名ブランド森永のヒ素ミルク中毒事件、大企業が汚染物質を大量に廃棄したことによる10数年間の深刻な水汚染(水俣病)、政界を震撼させた4大汚職事件。どの時代にも希望と失望、正義と邪悪、光と影が満ちているが、経済の高度成長期、社会の急激なモデルチェンジの時期には、これらの全てがより際立って鮮明に見える。中国方正出版社が刊行した「日本の戦後の汚職と管理--政界を震撼させた4大汚職事件を例に」は、日本の高度成長期の汚職、罪と罰を明らかにした作品だ。中国青年報が伝えた。
田中角栄は貧乏な家庭に生まれ、小学校高等科卒ながら、自らの努力と才能により「逆襲」を果たし、政界に君臨した伝説的な首相だが、一方でロッキード事件で有罪判決を受けた権利・金銭の取引のプロでもあった。株式会社リクルートの創業者である江副浩正はビジネスを広げた後、自社の財界的地位を高めるため政界のコネを作り、官と商を結託させた(リクルート事件)象徴的な歴史人物となった。本書を手にすると、日本の高度成長期に道徳・法律から逸してしまった当事者の浮き沈みに、ため息を禁じ得ない。本書を閉じて考えにふけると、日本の高度成長期の汚職問題によって示された特徴、そしてそこから得られたものと失われたものが頭に浮かぶ。日本は中国の手本とは言えないかもしれないが、依然として良い「鏡」であることは間違いない。
◆補足情報
「日本の戦後の汚職と管理--政界を震撼させた4大汚職事件を例に」の筆者は冷葆青氏。冷氏は2000年に中国青年政治学院法学部を卒業し、2004年に日本政府の奨学金を取得し早稲田大学に2年間留学。本書は「戦後の4大汚職事件」を例とし、日本経済の戦後の高度成長期における汚職事件発生の歴史的な軌跡、日本社会の汚職事件解決の経験をまとめた。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年7月10日