◆日本がスタグフレーションの深淵に
ある日本のエコノミストは、「3本の矢が効果を現していないのは、それが日本経済の長期低迷を引き起こした根本的な問題を避けており、深いレベルの構造改革が提案されていないからだ。多くの遠大な目標が羅列されたが、目標を実現するための効果的なルートと措置が示されておらず、企業の要請に対しても積極的に反応していない。例えば日本の業界は、安倍首相の新たな経済戦略が力不足としている。法人税に関する減免措置が計画に盛り込まれたが、業界がこれまで期待していた全面的な減税ではなかった」と指摘した。
日本国内ではこれまでも、改革に対して主に三つの期待があった。一般国民はデフレ解消に期待しているが、インフレも恐れている。日本企業は税負担の低減により、国際競争力を高めることに期待している。世論・知識界・海外投資家は医療・年金・税制などの根本的な改革により、潜在的な成長率を引き上げ、悪化した財政状況を段階的に改善していくことに期待している。
しかし現時点で、アベノミクスは円安でいくらかの収穫を得ているだけで、その他の面では実質的な進展がない。
続く円安により、日本の債券市場に深刻なリスクがもたらされている。安倍首相が推進する金融緩和策は、紙幣を大量に印刷しており、日本政府の債務残高の対GDP比が240%に上昇した。投資家はこれを受け、政府の債務返済能力への懸念を深めている。悲観的なムードがピークに達した場合、大量の資金が日本の債券市場から流出し、日本の金融システムが再び大打撃を被り、地方銀行の資本価値が急落するだろう。
UBS銀行最高投資責任者のフリードマン氏は、「日本は、経済成長が低迷を続け、物価が上昇するという、スタグフレーションの深淵に陥るかもしれない。この状況下、日本の債務残高の対GDP比は300%以上に達し、債務危機が発生し金融システムの崩壊を招く、安倍首相の最後の日が訪れる可能性がある」と分析した。
フリードマン氏は、「現時点で日本でスタグフレーションが起きるリスクは低く、短期間内は債券市場で恐慌を引き起こす投げ売りが生じないだろう。短期的な投げ売りの流れが生まれても、日銀がこれを阻止するだろう」と指摘したが、インフレの影はすでに見え始めている。
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