このような風潮は、贅沢品の贈答という習慣に大きなダメージをもたらす。ネットワークを利用して個人情報を集めるというやり方が逐次グレードアップしている現状のもと、官僚によるその他の贅沢品消費や、それにまつわる腐敗行動も、抑制されることは間違いない。これは、中国の反汚職政策にとって願ってもいないことだ。
中国社会の清廉潔白度がまだ全体的に低い水準にあることを考えると、ネット上の要求はいささか厳しすぎ、理想化されているところがある。監視監督の対象となる人物も、極めて無作為性が高く、こうした状況では、ネット上での追求や判断と、その人物の清廉潔白度も含めた実際の業績と必ずしも一致しないという事態が起こり得る。
インターネットは、ひとつの情報に的を絞り、掘り下げることを可能とする。よって、腐敗問題をめぐり官僚は「一票否決(人事評定の際に、対象となる分野の目標が達成でいない場合、他の分野の評価がどれほど高くとも総合評価がゼロとなる制度)」される。これは、官僚のポストの安全性や昇進・栄転の可能性を大幅に変えてしまう。官僚はこれまで上役と地元の民意に対して責任を負ってきたが、今後は公的な振る舞いに対するインターネットの反応も気にかける必要がある。
インターネット上の腐敗一掃はじわじわと中国社会の権力のひとつとなりつつある。多くの人が、この種の権力に目覚め、さらには崇拝する傾向にある。ネット上で活動する人物にも、さまざまな人がいる。責任感や判断力が特に高くはない人間が、このような権力を行使した場合、理性に欠けた振る舞いとなる恐れがある。
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