1980-1990年の日本は自動車、家電、造船などの産業で世界をリードし続けた。だが21世紀になって世界の電子情報産業のリーダーは日本企業から米国企業に変わった。1985年9月のプラザ合意による円高で、日本の一般製品の輸出競争力は大幅に低下し、「貿易立国」政策は一定の打撃をこうむった。これを受けて日本はその対外経済戦略を「貿易立国」から「投資立国」へと徐々に転換した。円の高止まりが、日本の対外投資を加速した。2011年末の時点で日本政府、企業、個人の保有する対外資産は約7兆3000億ドル、対外債務は約4兆1000億ドル、対外純資産は2011年度GDPの54%に相当する約3兆2000億ドルで、世界最大の債権国の座を維持した。
対外直接投資面では、日本企業は過去20年間、1985-1990年の「米国買いブーム」の熱狂を冷まし、対外投資の重点を不動産から鉱物資源開発、および市場開拓を目標とする製造業へと転換した。日本側の統計によると、2011年の対外投資額は前年同期比102.1%増の1156億3000万ドルに達した。このうち対中投資は76.3%増の127億8000万ドルと、初めて100億ドルを突破して3位になった。首位は米国(147億7000万ドル)、2位は英国(141億2000万ドル)だ。
2011年に日本の貿易は異例の赤字(300億ドル)を計上した。だが経済収支は黒字を保ち、外貨準備は増加し続けている。「海外における日本」の存在によって、そのGNPはGDPを明らかに上回っている。GDP(国内総生産)が国内で生産された最終製品の市場価値を示す「地域」概念であるのに対して、GNPは国民の全生産要素の生産した最終製品の市場価値を指す「国民」概念だ。
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