紛争の主要原因

中国の関連部門が「中国のレアアース政策は資源環境の保護と持続可能な発展の実現が目的で、貿易方法を捻じ曲げて国内産業を保護する意図はない」と再三強調しているにもかかわらず、米欧日などは何度も中国のレアアース政策をＷＴＯルール違反にしたてようとし、中国の割当管理、輸出許可証、輸出最低価格、割当入札といった管理措置に挑みかかってくる。その原因は何なのか？

内蒙古包頭市新光村付近の違法製鉄所。レアアース廃棄物を直接廃棄し、周辺の環境を深刻に汚染している (ＣＦＰ)

工業情報化部原材料司の副司長で、レアアース弁公室副主任の高雲虎氏は、「米欧日などが中国に圧力をかけるのは、中国から低価格のレアアースを輸入したいだけだ」と言う。

工業情報化部が発表したデータによると、中国は世界最大のレアアース生産国であり輸出国である。現在、レアアースの埋蔵量は世界の約３６％、供給可能量は世界の約９５％以上を占める。国際市場需要の刺激を受けて、中国ではレアアースの無秩序な採掘、違法加工、密輸などの状況が深刻化した。価格の暴落はなおのこと顕著で、１９９０年から２００５年で中国のレアアース輸出は１０倍近く成長したが、価格は５０％下がった。

高雲虎氏は、中国のレアアース管理強化は完全にＷＴＯルールに準ずるものだと言う。中国は国内と国外の企業を同一に扱い、レアアース価格の決定は市場に委ねられている。中国のレアアース管理規制は、採掘、生産、輸出のどの段階に対しても行われている。

商務部国際貿易経済合作研究院外資研究部主任、研究員の馬宇氏は次のように述べる。「ＷＴＯパネルの設置は貿易の歪曲による不公平な競争を防ぐためのものだ。仮に中国が純粋に輸出のみ規制し、国内の消費者と国外の消費者とで購入品目が違い、価格が違うというなら、それは貿易の歪曲だ。しかし中国は国内採掘、生産、輸出のどれに対しても管理措置を実施しており、その措置は国内国外を問わず同様であり、購入レアアース品目も価格も同じである。これはＷＴＯルール違反には当たらず、貿易の歪曲でもない」。