電気自動車の発展は理性的であるべき

「電動車発火事件が引き起こした安全性問題についてまだ定説はない。しかし自動車業界にとっては、電動車発火事件は業界の電池安全性問題に対する関心を高めただけでなく、中国の新エネルギー車発展路線に対する再考をある程度促した」。自動車業界アナリストの鐘師氏はこう語る。

鐘師氏は、「すべての完成車メーカーと動力電池メーカーは、現在明らかになっている欠陥と問題について真剣に原因を分析し、教訓を汲み取り、迅速に解決するべきだ」と考える。新エネルギー車が将来の自動車発展方向であるという点は争いようのない事実だが、盲目的に進めるのではなく理性的に発展させるべきである。

賈新光氏は、「電気自動車で発生したこれらの事故は国内の電気自動車業界発展の障害にはならないだろう。反対に、これで問題が明らかになり、電気自動車メーカーはさらに慎重に動力電池の安全性に向き合い、安全性研究と防止に着実に取り組み、最終的により安全な電気自動車を作り出すことができるだろう」と考えている。

中国国内を見てみると、ほとんどすべての自動車メーカーが新エネルギー車を新たな発展の原動力にしようとしているが、電気自動車安全性の研究開発、生産、電池管理などはまだ規範化されていない。新エネルギーという概念の巨大な利益に誘惑されて、ここ数年、国内では車用電池メーカーが大量に出現した。電池は参入ハードルが低いため、業界は玉石混交の様相を呈しており、電気自動車製品の安全性は確かに懸念すべきものがある。中国は５年前から一部の大都市で電動車を含む新エネルギー車の試行を行っているが、モデル都市の現状からすると、電動車はまだ信頼できる安全性が保証されるところまでいっていない。

しかしまさにこのような状況下で、中国は「２０１５年までに電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車の累計生産販売台数５０万台を達成し、２０２０年には５００万台以上にする」という目標を打ち出した。これに対し賈新光氏は次のように述べている。「このような普及スピードを追求するよりも、むしろゆっくり発展させたほうがいい。電気自動車発展に存在する安全性能などの問題をまず着実に解決するべきだ。電気自動車の各種性能が安定すれば、市場は自然に形成されるだろう」。

「北京週報日本語版」2012年7月5日