電気自動車安全性に世界が努力

電気自動車分野における発火事件は比亜迪社製タクシーに限らない。昨年、浙江衆泰汽車公司の工場から出荷後５カ月足らずの電動タクシーが杭州で自然発火した。

清華大学自動車工程開発研究院常務副院長の宋健氏はメディアの取材を受けた際、「リン酸鉄リチウム電池であれマンガン酸リチウム電池であれ、どちらも安全性問題を本質的に解決していない」との見解を示した。

現在、電気自動車に使用されているリチウムイオン電池は、技術路線の違いにより世界的に２つの陣営に分かれている。１つは米国Ａ１２３社、Ｖａｌｅｎｃｅ社、比亜迪社に代表されるリン酸鉄リチウム電池陣営、もう１つは日本や韓国の電池サプライヤーに代表されるマンガン酸リチウム電池陣営だ。しかしどちらのリチウム電池も、現在の技術状況下では一定の問題が発生する可能性がある。

２０１１年５月、米国運輸省道路交通安全局(ＮＨＴＳＡ)はゼネラル・モーターズの電気自動車シボレー「ボルト」に対し側面衝突実験を行った。その３週間後、車庫に置かれていた試験車が突然発火した。ひとまずリチウムイオン電池ユニットの損傷による火災と判断されたが、その後の再実験では予想されたような発火現象は起きなかった。

中国汽車工業諮詢発展公司チーフアナリストの賈新光氏は、「これらの現象は、電動車の安全性は世界の自動車メーカーが直面する難題であることを示している」と言う。ガソリン自動車も発火はするが、現在の電気自動車の発火率ははるかにガソリン自動車を上回っており、人々の安全性に対する心理的許容範囲を超えている。